【引用】企業の変革は、危機感とセットで論じられることが多い。
企業の変革は、危機感とセットで論じられることが多い。人を動かすのは危機感であり、変われないのは危機感に目覚めていないからだと。そうした変革論の前提にあるのは、業績悪化や不祥事などで経営破綻の危機に陥った会社がドラスティックな改革を断行し、劇的にⅤ字回復を果たす、というようなわかりやすい企業変革のイメージだろう。
「しかし、必ずしも危機感があれば会社が変わるわけではない」
そう語るのは、経営学者で組織論、経営戦略論が専門の、埼玉大学経済経営系大学院准教授・宇田川元一氏である。
「上述のような変革、つまり病気に例えるなら“急性疾患”の状態に対処する場合は、確かに危機感はある種のトリガーになるでしょう。しかし今日、多くの日本企業が直面している問題はそうした明確な危機というより、むしろ“慢性疾患”に近い。衰退は緩やかで、それゆえにわかりにくく、何をどうすればよくなるのか、手のつけどころにも困るような状態がずっと続いています。そのモヤモヤとした重苦しさややりにくさは、危機感のひと言では言い表せない。もっと複雑で得体のしれないものではないでしょうか」
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#2025/12/02
『Learning Design 2025年01月号|HRトレンドキーワード2025』
宇田川元一