【引用】いつも片手に「転職のチケット」をもちながら働き、そのチケットを使うかどうかを自らに問い続ける。
このような不安定な状況を背景として、いまや「転職」は人々にとって「当たり前」の選択肢になりつつあります。
かつては、「就職した会社でずっと働くこと」が前提であり、何かのきっかけがあって初めて転職を考える、というものであったのが、いまで は、転職は最初から「キャリアの選択肢の一つ」として想定されています。 いつも片手に「転職のチケット」をもちながら働き、そのチケットを使うかどうかを自らに問い続ける。 言い方を変えれば、「いま転職する」ことだけでなく、「いまは転職しない」とい うことも選択するような時代を、私たちは生きているのです。 こうして組織や会社を横断しながら就業人生全体を捉えるというような感覚は、学術的にいえば「キャリア論」と呼ばれる研究の文脈のなかで、広く共有されています。
企業人事の立場から問うべきは、辞めた人に向かって「どうして辞めちゃうの?」ではなく、在籍している人に向かって「どうして辞めないの?」かもしれないと最近思っている。
転職チケットという言葉は、決断するのに理由がいるのは、「転職する」ほうではなく、「転職しない」ほうだということを含意している。
辞めるのに理由はいらない。辞めないことにこそ理由が必要。
だから、辞める理由を考えても、企業人事に取っては得られるものが少ないと思い始めている。
だって、本人にも明確にその理由がなかったり、あるいは、「辞める」ことが「働く」ことの一部として内蔵されているのだとしたら、「普通に働く」ことの延長に「辞める」ことがあるわけだから。
現実的にはもちろん辞める理由は考える。
けど、それだけじゃ片手落ちだということ。
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