『Learning Design 2024年09月号|副業、本当に必要ですか?』
組織風土を変える日本郵政グループの「戦略的副業」/Learning Design/2024年9-10月号/Learning Design Members
https://jhclub.jmam.co.jp/acv/magazine/content?content_id=22494
Highlights & Notes
「社外から副業人材を受け入れると同時に、当社も外へ人を送り出す。交流することで、社内にない知見や発想、日常の業務や研修では得られない学びが得られるのではないか。そこから組織や業務のさらなる変革を加速し、企業価値向上につなげていければと考えています」
実際に具体的検討が始まったのは2022年4月頃から。まずトライアルとして、人事が自らメンバーを社外へ送り出し、「副業」を経験。ある自治体で地域課題の解決を目指す案件に参画。副業を経験したメンバーも、受け入れ先もお互いに好感触を得たことから、人事部では「組織全体で取り組む価値がある」と意を強くし、実施に踏み切ったという。
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副業推進は何のため、誰のためにあるか/Learning Design/2024年9-10月号/Learning Design Members
https://jhclub.jmam.co.jp/acv/magazine/content?content_id=22496
Highlights & Notes
そして最後に、副業は社員と対話し、社員を知るきっかけになるのだということを伝えたい。三井住友海上火災保険の手島良氏は「申請がきて話を聞くうちに、『社員はこんなことを望んでいるんだ』とみんなの思いが見えてきて、それを制度に反映できるようになりました」と述べてくれた。
指導の前提は、「一番大切なことは何か」を話し合うこと/Learning Design/2024年9-10月号/Learning Design Members
https://jhclub.jmam.co.jp/acv/magazine/content?content_id=22497
Highlights & Notes
鴻上
ひと昔前までは劇団も日本の会社も、“飲みニケーション”が唯一のコミュニケーションスキルの養成機会だったように思います。昔は演出家から怒鳴られた若い俳優を中堅が飲みに誘って励まし、劇団を辞めるのを阻止した、みたいなことが頻繁にありました。
しかし、昨今、特にコロナ禍以降はそんなに飲んでいられなくなりました。“飲みニケーション”という強力なツールが廃れてしまった後は、もう演劇のコミュニケーションの方法を応用するしかないと思い、それをワークショップに仕立て、力を入れているのです。
鴻上
企業に講演会に行くと年配の方から「どうしたら若い人を飲みに誘うことができるでしょうか?」などと聞かれるのですが、「やめた方がいい」とお答えしています。僕も相手は断れないだろうと思うので、自分から若手を誘うようなことはしません。その代わり、相手から誘われたときは何か言いたいことがあるのだろうと思うので絶対に断らない、と決めています。
中原
コミュニケーションを円滑にすること自体は目的ではない?
鴻上
はい。一番大切なことは「名作をつくること」であり、名作をつくるためのアイデアは全部ほしい。みんなにアイデアを出してほしい。もちろん、使わないものもありますが、思いついたアイデアは全部ほしいのです。コミュニケーションを円滑にすることは、そのための手段であって、目的ではありません。
鴻上
指導以前に「一番大切なことは何か」ということの相互確認をしておくことが大切だと思います。
僕は外国人の目から日本文化の魅力を再発見するNHK BSの番組『COOL JAPAN』のMCをかれこれ18年ほどやっています。先日は、ブラジル人のシステムエンジニアの方がすごく悲しい顔でやって来ました。彼は日本企業に転職した初日に、自分のオフィスが寒かったのでコートを着て仕事をしていたのだそうです。すると、日本人の上司から「コートを脱ぎなさい」と注意されたので、「寒いんです」と言ったら、「職場ではコートを脱ぐのが礼儀だ」と返されたと。彼にとってみると、「この日本人上司は生産性を上げることよりも、礼儀の方が大切だと思っているんだ……」とモチベーションが一気に下がってしまったというのです。
中原
むむ、謎ルールですね……。
鴻上
「うちは昔からこうやってるんだよ」といった謎ルールが温存されてしまっているから、企業はいつまでも変われないし、学校も役所も機能不全に陥ってしまっていることが多い。謎ルールを残したままでも潰れない組織が温存されているために、気づかぬままゆっくりと崩壊に向かっていっているのではないか……とすら感じます。
このような事態を回避するためには、まず「仕事をするにあたってお互い何を一番大事だと思っているか」ということを明確にしておくことだと思います。「売り上げが大事」だとしても、「売り上げをどのように伸ばすことを大事だと思っているのか」ということをお互いに確認しておけば、ミスコミュニケーションは少なくなります。
鴻上
自分たちの劇団以外で演出の仕事をしたときです。外に出たときに気づいたのです。最初は外の世界でも、劇団内と同じような言い方で「そのセリフはこう言って」などと指導していたのですが、何度伝えても通じなかった。そこで、「あっ」と気づきました。話が通じないのは、そもそもどんな作品をつくりたいか、という根本からの議論が足りていないからだ、と。
たとえば「ロミオとジュリエット」をやるときに、僕は恋愛の美しさを描こうと思って演出をしているのに、俳優側が、報われない恋愛の虚しさを伝えようと思って演じていたとしたら、どうやってもずれが出てきます。いくらテクニカルなことを細かく伝えたとしても、そもそもこの作品で何を表現しようとしているのか、という根本的なことを確認しない限り、いつまでも平行線をたどっていきます。
鴻上
そのとおりです。これは先ほどの謎ルールについての話でも同様です。若手から「なぜこの業者に発注したんですか?こっちの方が安いのに」と聞かれたら、「実はこの会社は昔うちの会社がしんどいときに助けてくれた恩があって、そのときに口約束だけど今後はずっと御社と取引します、って言っちゃったんだよ」といった説明をきちんとするのです。そうすれば、謎ルールも一応、納得のいくルールになりますし、今後もそのルールを受け入れ続けるかどうかを考える材料にもなるかもしれません。面倒くさくても、回りくどくても、一つひとつしっかりと説明していくことが大切です。
鴻上
指導者って日本語がよくないかもしれません。今の時代に求められるのは、ファシリテーターじゃないでしょうか。指導者、リーダーは結論に責任を持つ人というイメージ。だから結論を出すために、引っ張ったり導いたりしなければ、とみんな肩に力を入れすぎてしまう。
けれど、ファシリテーターっていうのはプロセスに責任を持つ人です。会議でみんな思っていることを全部言えたかどうか、メンバー同士できちんとコミュニケーションができたかどうかに責任を持つのです。どんな結論になったかというのは、指導者が責任を引き受けるものですが、ファシリテーターと兼務する場合は、肩の力を抜いて、ファシリテートしていく、ということを一番の目標にしていけばいい。みんなが発言しやすい雰囲気をつくることで指導者の80%の仕事は終わっている、と僕は思いますね。
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#2025/09/02
https://jhclub.jmam.co.jp/acv/magazine/index?public_number=202409