『システム思考をはじめてみよう|ドネラ・H・メドウズ』
# システム思考をはじめてみよう
![](https://m.media-amazon.com/images/I/81W2Nvmy+tL.jpg)
### Metadata
- Title: システム思考をはじめてみよう
- Author: ドネラ・H・メドウズ、枝廣淳子
- Book URL: https://www.amazon.co.jp/dp/B018S75UT2
- Open in Kindle: kindle://book/?action=open&asin=B018S75UT2(kindle://book/?action=open&asin=B018S75UT2)
- Last Updated on: 2025年3月30日 日曜日
### Highlights & Notes
「従来の経験や考え方から自由になる」とはつまり、「自分(たち) の思い込みに気づく」ということなのです。
ドネラさんはある時、「世界や社会を望ましい方向に変えるには、研究を続けるよりも、システム思考について広く伝えることで、人々が自分の思い込みに気づいたり、つながりを見出したりすることのほうが重要だ」と悟り、研究者としての輝かしいキャリアを捨てました。新聞などにエッセイを書くなどして広く伝えるコミュニケーターの道を選んだのです。
「変化が当たり前」かつ「どういう変化がいつ起こるかも不確実」という時代を、変化に翻弄されるのではなく、つながりや構造に気づくことで変化を見極め、副作用もわかった上で先手を打って進んでいきたいと思う方へ。
問題はシステムの構造にあります。  システムの中にいる人たちのモラルのせいではありません。「
スポーツの世界では、試合がつまらなくならないよう、「成功者はさらに成功する」が起きないようにするためのさまざまな工夫が用意されています。文字通り、「土俵を平らにする」というわけです。力の弱い選手にはハンディキャップを設けます。コートの位置を交代することで、いつも向かい風や太陽に向かってプレーをしなくてもよいようにします。負けている側に選択権を与えます。それに何よりも、スコアを「0-0」に戻して、再び「試合開始!」とするのです。
ところで、問題と同様に、解決策もつながっているという話は、めったに耳にすることがありません。環境にとって好ましい行動をひとつ起こすと、そこから次々と良い効果が生み出されるのですが、そのようすは、好ましくない行動がひどい結果の連鎖を生むときと同じくらい、感動的です。
こうした環境問題に対する解決策の多くは、「不経済だ」と考えられています。でもそれは、最も短期的かつ目の前のつながりの部分しか計算してこなかったからです。もし、すべてのシステムに及ぶ影響を計算したら? 環境に良くないことをしたときの報いは大変なものとなり、環境面での良識ある行動のもたらす利益は途方もなく大きいことがわかるでしょう。
ウッドストックが自分たちで「どのような点で魅力のない町になるか」を選ぶか、そうでなければ、成長の果てに魅力のない町になるしかないのです。
市場システムや民主主義がうまく機能しているとしたら、なぜなのでしょうか? それは「フィードバック」の原理に基づいて設計されているからです。  フィードバックとは、要するに、人々に「自分の行動が生み出した結果」についての正確で説得力のある情報を素早く伝えることです。付けた値段が高すぎたら、顧客は獲得できません。国民をはぐらかす政治家には、票が集まりません。フィードバックのおかげで、速やかな学習が促進されるのです。  では、市場システムや民主主義がうまく機能しないのは、なぜでしょうか? それはフィードバックがしばしば歪んだり、遅れたりするからです。避けられない歪みや遅れもありますが、多くの場合は意図的なものです。
世界には、不完全で、遅れを伴った、偽りのフィードバックが蔓延しているのです。
使い捨て社会には、多くの重要なフィードバックが欠けています。
自分の知らない問題は解決できません。自分に影響のない問題など、解決しようともしないでしょう。目に見えないものを「見える化」する、実際のコストを価格に組み込む、意思決定を行う人がその決定のもたらす影響を受ける仕組みにする──こういったことを何とか実現していくたびに、世界は少しずつうまく回るようになるのです。
価値観を変える必要もありませんでした。ただ、自分の行動が自分の価値観に一致しているか、していないのかを見ればよいだけでした。
現在の家庭用電力メーターは「不格好で、フジツボのように家の外側に張り付いており、これを読み取ることができるのは専門職員だけである。この無神経な装置は、見事なほどにユーザーがどれだけエネルギーを使ったのかをわからせない設計になっている」とこき下ろしたあと、「しかし、ビリジアンメーターは、電力会社のスパイ機器ではなく、ユーザーが所有するアートオブジェなのだ」と書いています。
メーターの表示は、キロワットではなくドルでもいいかもしれません。
そのときそのときの私の決めたことが実際にどのような結果をもたらすのか、ホンダのハイブリッド車が教えてくれたように、メーターからも学びたいのです。
今、究極の知能テストが環境から突きつけられています。私たちは、自らの生命維持システムの破壊を止められるだけの知恵を持ち合わせているのでしょうか?
私はどちらとも言えると思います。確かに、私たちは過ちからも学ぶことができます(人間は学習する生き物としてプログラムされているようです)。でも、私たちの過ちを重ねるスピードは学ぶスピードを上回っているのかもしれません。それは特に、個人が学ぶスピードに比べて組織が学ぶスピードがあまりにも遅いからです。
#📚本棚
/icons/hr.icon
#2025/03/30
https://www.amazon.co.jp/dp/4862762190/
ドネラ・H・メドウズ
https://gyazo.com/a2be3ece4e82830e707211e8c32cc669