『すごい言語化 「伝わる言葉」が一瞬でみつかる方法|木暮太一』
# すごい言語化――「伝わる言葉」が一瞬でみつかる方法
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- Title: すごい言語化――「伝わる言葉」が一瞬でみつかる方法
- Author: 木暮 太一
- Last Updated on: 2025年5月31日 土曜日
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そして何も表せていないから、どうすればその状態になれるかもわかりませんし、実際に何か行動に移すこともできません。
ぼくらは「なぜ伝わらないんだろう?」「なんでわかってくれないんだろう」と日々悩んだり、ストレスを溜めたりしています。ですが、そもそも言えていないんです。だとしたら、相手がわからないのも無理はないです。
また、その「誰か」が自分であることもあります。自分が考えていることは自分が一番よくわかっていると思いきや、じつはそうではありません。自分ですらわかっていないことはよくあります。 自分で自分を理解しようとするときも、言葉にしなければいけません。
仕事にやりがいを持てないのは、自分の仕事の価値を言語化して捉えていないからです。
やりがいを持て、仕事に興味を持てと語るのは簡単ですが、つまらないものを無理やり「おもしろいと感じろ」と言われても正直無理ですし、無理やり「毎日充実しています」と口にしても何の意味もありません。 マインドの前に、言語化です。言語化をし、自分にとっての仕事の価値を言葉で捉えることができれば、まったく違うものが見えるようになります。
大事なのは日本語で表現することではなく、自分が頭の中で描いているものと同じものを、相手に描いてもらえるような言葉にすること です。
ブランディングという言葉の意味を辞書で調べても意味がありません。 大事なのは正しく表現することではなく、自分が表現したい「何」を言葉にすること です。
そして、本当は全然理解できないのに、一応言葉にはなっているのでそれらのフレーズで理解・納得しなければいけない雰囲気になっています。 会社の中で「価値を提供しろって言いますが、そもそも価値って何ですか?」と質問したらなんか怒られそうな気がします。「そんなこと自分で考えろ!」と言われそうですね。
伝えたいのに伝わらない場合、ぼくらは「この人にどう伝えたらいいか・どう表現したらいいか」と口にします。一方で相手が思っているのは「この人が何を言っているのかわからない……」です。 伝える側は「どう(How)」を気にしていますが、相手は「なに(What)」を考えています。わからないのは「何」なんです。
ですが、コミュニケーションスキルで重視されているのは、話し方・聞き方・褒め方・叱り方などの「How(どのようにするか)」です。どのように話せば相手が納得してくれるか、どのように叱ればいいか、などのやり方が解説されています。 これらは、言ってみれば「届け方」ですね。伝えたい内容をどのように相手に届ければいいかの話です。 もちろんそれも大事です。しかし、この「How」が活きるのは、届けるもの(伝えたい内容) が整っている場合のみです。 伝えたい内容があやふや、もしくは自分の意図がしっかり反映できていない場合、「届け方」をいくら磨いたところで意味はありません。
「どう表現するか」を考えるのではなく、「何を表現するか」を考える。それが言語化です。繰り返しですが、言語化とは伝え方の問題ではありません。 自分が伝えたいものは何か? 何を伝えたら相手に響くのか、その伝える内容そのものを定めることからが言語化 なんです。
短くするのは、長い表現ができるようになってからです。
マイナス側面を打ち消すために(もしくは、ごまかすために) 言い換えをしている場合、あなたはその「マイナス側面」にとらわれてしまっています。本来打ち出すべき価値が他にあるかもしれないのに、「マイナスを消そう」という目になってしまっています。これは非常にもったいないことですね。
言語化とは、言い方を変えてごまかすことではなく、そもそも言えていない要素を言葉にすることです。
目に付いたものを言葉にするのではなく、この場で理解してもらいたい要素に意図的に焦点を当て、意図的に言葉にすることが求められます。
「今回は、こういうことを相手に感じてもらいたい。となれば、相手に伝えるべきことは○○だな」と、自分の視点を定めなければいけない わけですね。
そして、ビジネスでの言語化は比較的シンプルです。というのは、そもそもビジネスで言葉にしなければいけない項目はそれほど多くないからです。プライベートのやり取りと違って、ビジネスシーンでは伝えるべき項目・相手に理解してもらいたい項目がある程度決まっています。
そして自社内ではその価値を提供するためにすべきことを共通認識として持ち、それに向けてみんなが正しく行動できていればいいです。
というより、前の2つが語れたらようやく自分のことを語っていい、という理解のほうが正しいでしょう。
正直なところ、その商品に興味を持つまでは、その商品を売っている人が誰だろうが関係ありません。
言語化能力を上げるためのトレーニングがいろいろと提示されていますが、ぼくは経験上、まずは「型」に従うところから始めるのが最も早いと感じています。
というのは、ほとんどのケースで自分たちが提供したい「ウリ」をただ単にひっくり返して「課題」にしてしまうからです。
それは、「ウリ」を保持したまま顧客の「不」を言葉にしていたからです。そして、「無農薬などの天然素材のお弁当を食べたいけど、買えずに困っている人が顧客」という言い方になっていました。
ます。 一番の定義は「価値は変化である」 です。 つまり、「 商品やサービスを通じて相手に変化を提供できれば、その商品サービスは価値を持つ」ということです。
そして、もっと言うならば「 欲しいけど、自分一人では達成できない変化」です。自分で簡単にできてしまう変化であれば、誰もお金を払って商品を買おうとしません。
「この商品を使えば、あなたができなかった(もしくは苦労していた) A→Bの変化が得られます」
ここで注意したいのが、変化には必ず「ビフォア」と「アフター」の両方の明記が必要、この両方を語らなければ変化にはならないということです。変化を語ることに目が向いていても、アフター(結果) しか言葉にしないケースがとても多いです。
しかし、「ビフォア」も語らなければ変化になりません。というのは、誰を対象にした商品サービスかがわからないからです。
五感に訴えるというのは、単なる比喩です。五感に訴える目的はわかりますが、五感に訴えることはできません。これも言語化がされていない言葉です。 五感に訴えるとは、相手に妄想してもらうこと だと理解しましょう。相手に「この商品を買ったら、私はこんな感じになるかなぁ……」と妄想してもらうこと、それが五感に訴えることです。
相手に妄想してもらうためには、イメージ(映像・画像) で示すほうが効果的 です。ダイレクトに相手が妄想を見ることができます。ただ、最終的に映像・画像で表現するにしても、どのポイントを提示すれば相手がいい妄想をしてくれるかは言葉で整理しておかなければいけません。 そうでないと、単にきれいな写真を使ったり、背景をぼかしたアーティスティックな映像を使えばいいと考えてしまうことになります。 まずは、相手はどんなことにテンションが上がるか、顧客はどんな妄想を抱きたいか(どんな世界に憧れているか) を言葉で示しましょう。
この「こだわり」は、前の2つの価値とは違い、実際には顧客に得はありません。相手が勝手にこだわりを持っているだけで、それは本来自分には何も関係ないはずです。それを買っても特に変化は得られません。生産者がこだわりを持っているだけで、自分がそれを手に入れたときにテンションが上がるわけでもない。でも 相手が異様にこだわりを持っているものは、その異様さを体感したいと感じ、価値を感じる のです。
そして、お気づきになりましたでしょうか? 最初の4回のなぜは「目的」を問うています。一方で、後半3回のなぜは「理由」を探る問いになっています。
トヨタがこの考え方で本質に辿り着けたのは、現場が目の前にあり、考える対象が絞られていたからだと感じます。
顧客から「こういう商品が欲しい」といわれても、その言葉をそのまま受け取るのではなく、あなたから「現状のこんな状態を、このように変えることをご希望でしょうか?」など、価値を例示する言葉を出し、認識を揃えましょう。
しかし、 ライバルを見るのに慣れてしまうと、いつの間にかライバルとの競争になってしまいます。ライバルがこれをやってきたから、うちはそれを上回るようにしなきゃ、ライバルがこの素材を使っているからうちはもっといいこっちの素材を使おう、と考えるようになってしまうのです。 本来、ビジネスの目的は顧客に価値を提供し、対価をいただくことです。企業は顧客を見るべきですよね。そして、顧客が望んでいるものを提供することが「ゴール」のはずです。しかし、ライバルを意識するがあまり、ゴールを見ずに、横のライバルを見ながら走っているような感じになってしまう。そして、横を見ながら走っているので、いつの間にかゴールからそれて全然違う方向に走っていってしまうこともあります。そんな企業は多いのではないでしょうか?
ただ残念ながら、これは差別化ではありません。イラストを変えたからと言って差別化はできません。イラストを変えることでできるのは「区別」です。イラストを変えれば、他の本と区別できるので、過去の本と間違われることはないでしょう。でも区別できれば買ってもらえるわけではありません。 差別化は、区別してもらうために行うものではなく、「別の商品ではなくあなたの商品を選んでもらうため」に行い、そのような要素でなければいけません。
「その目的は、他社商品では手に入れられません。うちの商品であれば手に入れられます」 を言葉で伝えることです。他社商品では顧客がやりたいことができない、うちの商品だったらそれができると伝えることが肝なんです。
ちゃんとしているとは、服装が整っているとか、詐欺っぽくないかとか、そういうことではなく、「その価値を本当に提供できる人なのか」という意味です。
相手に取ってもらいたい行動を伝えるのは当然のことと思われるかもしれません。しかしながら、多くの「指示」が相手に取ってもらいたい行動を示していません。行動ではなく、ゴールやスローガンを提示しています。
残念ながら、この上司の方は部下に何もアドバイスをしていません。上司が伝えたのは「あなたはいずれこれができるようになってください」という「あるべき姿」を示しているだけです。つまりゴールを示しているだけで、どうすればそれができるようになるかを伝えていないんです。
そのため、作戦を変えます。MORSの法則を意識するのではなく、別の言い方にしましょう。相手に指示を出すときに、伝える表現は「 練習メニュー」と捉えたほうがわかりやすいです。
ですが、練習メニューは「練習」の表現になっているので、正しく練習しているか、間違っているかは周りがチェックできます。
定義するとは、必要条件をあげること、と捉えなおしてみます。
これがぼくがイメージする「安心安全の場」で、この3つが安心安全のぼくの定義です。もちろん人によってこの定義は変わりますし、変わって問題ありません。大事なのは、どんな要素を満たしていれば「それ」と見なすかをリストアップすることです。 そして自分が考えている要素(条件) を相手に伝えれば、相手もその基準で捉えることができますね。
物事の定義をしなければいけないときに、具体例を挙げてしまうことがあります。たとえば、「南国リゾートとは、どういうものを指している?」と聞かれたとします。このときは、自分にとっての南国リゾートの定義を伝えなければいけません。ですがここで、「南国リゾートは、ハワイとかグアムとか沖縄とかです」と具体例を出して終わってしまうことがあります。
具体例を出すと、それだけで伝えた気になってしまいますが、実際にはどの要素を重視しているかが伝わっていません。
そうなりそうなときは、「定義は?」ではなく「どんな条件の人(どんな場合) を考えればいいでしょうか?」や「欠かせない条件はありますか?」と聞くと、スムーズに答えてくれます。
揚げ足を取っているのではありません。「お金がある」という条件は、実際には何も指していないことに気づかないといけないんです。何が正解・不正解ということではなく、大事なのは「なんとなくの表現」で終わらせないことです。
欲しいものが手に入らないときは、言葉の定義から見直すのがいいと思っています。というより、成果が出ないのは、能力や知識が足りないのではなく、目指すゴールの定義が曖昧、もしくは間違っているからだとぼくは考えています。
日本人は「いざというときのために」とお金を貯めようとします。ただ、ある程度貯まった後も不安は消えません。なぜなら「お金=資産」と捉えてしまっているからです。お金が資産であれば、お金を使うことは自分の資産を減らすことになりますね。せっかく資産を貯めたのに、それを使ってしまったらまた減ってしまう。この状況が許容できないのです。 しかしまた、何かあったらお金を使わなきゃいけなくなります。そう考えてしまうと、「いつか減ってしまう、なくなってしまう」という不安は消えないことになります。だから将来安心できるだけの資産が欲しいと常に願いながらも、ずっと安心できないのです。
そして その定義ができたら、それに向けての練習メニューを考えます。もともと、普段やっていないこと(できていないこと) は、何かしらの障害があるからやっていないんです。そのため、「やろう」と決めるだけでは実行に移せません。練習が必要なんです。
ですが一方で、多くの企業が恋愛では絶対にしないようなことをビジネスでやっています。たとえば、顧客対象のことを「ターゲット」と呼びますよね。そして、ターゲットになんとか売り込もうとしています。 考えてみたら、ターゲットとは「的」のことです。あなたが一方的に狙いを定め、一方的に射貫こうとしています。つまり、相手の気持ちや考えはまったく無視して「あなたが私のターゲットだから」と勝手に、一方的に自分の商品を売りつけようとしています。こんな考え方で恋愛をしようとしたら、うまくいかないどころか、迷惑行為で警察を呼ばれかねないです。 これは単なる注意喚起ではありません。実際に対象顧客のことを「ターゲット」と呼ぶことで、弊害が起きています。顧客は「的」であり、自分たちが狙いたい先です。となると、誰もその「的」の気持ちは考えなくなりますね。その「的」が何を必要としているか、どんなことに困っているか、どんな商品を欲しいと思っているか、などは自然に頭から抜け落ちてしまうようになります。
そして3つ目の誤解は、感情伝達と情報伝達を混同してしまっている点にあります。
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