パスワードの歴史
大昔のコンピュータは何人もで使うことはできませんでしたからパスワードのような認証手法は不要でしたが、コンピュータが共同利用できるようになったときにユーザを識別するためのIDとパスワードが利用されるようになったようです。世界で最初のパスワードは、MITのFernando Corbató氏が1961年にCompatible Time-Sharing System (CTSS)というオペレーティングシステムで導入したものだそうです。Time-Sharing System (TSS)というのはひとつのコンピュータを時分割で共同利用するシステムのことで、現在はもちろん常識ですが昔は一般的ではありませんでした。
(ちなみに番号を使うダイヤル錠は1857年に発明されたそうです)
数々の賞を受賞しているが、1990年にチューリング賞を授与された。受賞理由は「汎用大規模タイムシェアリング・リソース共有型コンピュータシステムのコンセプト構築と開発を導いた先駆的業績に対して」。1998年にはC&C賞受賞。
Fernando Corbató氏
https://gyazo.com/7cd37b9bd47968950a7e905117e0b409
CTSSの後継としてMulticsというマルチユーザのオペレーティングシステムが開発され、これに触発されて1970年ごろUnixオペレーティングシステムがベル研究所のKen Thompsonによって開発されました。Unixは現在あらゆるところで利用されていますが、その先祖であるCTSSでパスワードが発明されたということのようです。
https://gyazo.com/23b02e59ebf8ec9854cb535a739c61bc
Dennis RitchieとKen Thompson
このようにパスワードには50年もの歴史があるわけですが、パスワードに関連する問題は昔からよく知られており、良いパスワードを作成する方法も昔から様々なものが提案されていたようです。40年ぐらい前の論文を読むと、現在とほとんど同じような問題が指摘されたり解決手法が提案されたりしていました。つまり、パスワードの扱いに関しては数十年間ほとんど進歩が見られなかったように思われます。
▶ パスワードの問題点
参考:
パスワードの歴史 (SlideShare)
A short history of the computer password
THE WORLD'S FIRST COMPUTER PASSWORD? IT WAS USELESS TOO
Gates predicts death of the password (2004)
1984年の論文
/UIPedia/Ben F. Barton: User-friendly password methods for computer-mediated information systems
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0167404884900403