はじめに
パスワードを忘れてしまって困ったり、パスワードを使い回すなと言われて困ったり、パスワードの扱いに苦しんでいる人は多いと思います。こういった問題が起こるのは人間はパスワードを覚えることが苦手だからです。長い文字列をいくらでも覚えられる生物ならば、パスワードに関連する苦労は無いでしょう。パスワードに限らず、人間は新しい情報を覚えるのが苦手なので苦労するわけです。 パスワードより良い個人認証手法があれば苦労してパスワードを覚える必要はないはずです。様々な手法が考えられてきていますが、あらゆる点においてパスワードよりも優れている認証手法がまだ存在しないため、現在でもパスワードが広く利用されているというわけです。たとえば指紋認証や顔認証を利用するとユーザは何も記憶する必要はありませんが、特殊なハードウェアやソフトウェアが必要になるのでどこでも使えるわけではありませんし、怪我やマスクなどで使えないこともあります。
パスワード以外でも特殊なハードウェアが不要でどこでも利用できる認証手法が提案されていますし、複数のパスワードを管理するためのシステムも沢山存在しますが、そのようなシステムでもユーザが秘密を覚えることによって認証を行なうという手法が多いようです。たとえば特定の画像を覚えることによって認証を行なう画像認証システムや、マスターパスワードを使ってあらゆるパスワードを管理するパスワード管理システムなどではユーザは何かを記憶しなければなりません。これらのシステムが便利な場合もあるでしょうが、新しい何かを記憶しなければならないという問題は変わっておらず、ユーザの負担は残っています。***特殊なハード/ソフトが必要*** パスワードをうまく記憶する自分だけの方法を考えて使っている人もいるようですが、誰にでもできるわけではありません。
そもそもパスワードは苦労して覚えなければならないものなのでしょうか? 苦労せずに簡単に個人認証を行なうことはできないのでしょうか? この資料では、苦労して何かを覚えなくても個人認証はできるということを解説したいと思います。