画像認証
 パスワードのような文字列を記憶するよりも写真や絵を記憶する方が簡単だと思われるので、画像を利用する認証手法が注目されています。日本セキュリティ・マネジメント学会の「誰でも安心して使えるパスワードの実現に向けて」という資料では、「文字によるパスワードが脆弱であることを踏まえ、本人にとって再認しやすい画像などを活用した電子的本人認証手法を広く利用する」という提言がなされています。
 画像を認証に利用する試みとして、以下のような手法が提案されています。
複数の画像の中から画像を選択する方法
画像の中の特定の位置を指定する方法
画像に関連するキーワードを選択する方法
画像に対して特殊な操作を行なう方法
 画像認証の草分けと言われている「Déjà Vu」システムでは、あらかじめ自分が選んだ画像を複数の画像の中から選択することによって認証を行ないます。ランダムに生成された数千のパタンの中から自分が好きなパタンをあらかじめ5個選んでおき、ログイン画面でそれを選択することによって認証を行なうようになっています。
https://gyazo.com/f35d35c6f009350f0449be8ab07f9860
Déjà Vu
 Passfaces CorporationはPassfacesという認証手法を提案しています。Déjà Vuの画像はエピソード記憶として記憶しづらいため、パタンを記憶するかわりに人間の顔を記憶するようにしています。
https://gyazo.com/12cf119b216016c44041ba1875d97f04
Passfaceシステム
 VisKeyは、画像を選択するのではなく画像の中の点をタップすることによって認証を行なうシステムです。あらかじめタップする位置を決めておき、正しい位置をタップしたときだけ認証が成功します。ここではイルカの鼻先を順番にタップしたときに認証が成功するようになっています。
https://gyazo.com/2dbb4edc510938f3f23a0811e6b12ea6
VisKey
 私が運営する本棚.orgでは、登録した画像に関連する単語を選択することによる認証を採用しています。左図は「Leikoの本棚」で登録されている画像なぞなぞ認証の画面です。それぞれの画像に対して候補単語がリストされており、正しいものを選択すると認証が成功して編集が可能になります。この画像が何を意味するものなのか他人には全く想像ができませんが、登録した本人のエピソード記憶にもとづいているため忘れることはないのだということでした。
http://gyazo.com/44e62d8a50dcba07dd9a3cd9e22dd3ab.png
本棚.orgの認証
これらの手法は比較的単純だといえますが、記憶しているストーリーや画像に関連する画像を選択する手法や、記憶している画像で囲まれた領域の中の画像を選択する手法など、もっと複雑な手法もいろいろ提案されています。