メガネ型情報端末を用いたLED光色と音通知によるさり気ない道案内システムFun'iki Navi
Map Navigation System by LED Color of Smart Grasses to Prevent Distracted Walking
https://gyazo.com/72f90525b528178618b56502b8525d4f
概要:
歩きスマホをする理由で最も多いのが地図の確認であることから、本研究では、地図確認による歩きスマホ事故を防止するためにFun'iki Naviを提案する。Fun'iki NaviはAndroid端末と雰囲気メガネで構成され、雰囲気メガネによる5色のレンズ部LED光色および音を用いて、ユーザに対して右左折方向、右左折地点までの距離、経路逸脱、目的地の通知をする。本研究では、Google MapsとFun'iki Naviを比較し、下およびスマートを確認した時間の平均値は、Fun'iki NaviではGogle Mapsに比べて1/35に減少し、有意差があった。地図アプリを確認せずとも安全で快適な道案内システムを構築し、歩きスマホ事故の少ない社会の実現を目指す。
Abstract:
Fun'iki Navi is proposed for distracted walking accident prevention, where LED light color and sound of FUN'IKI Ambient Glasses express direction, route deviation, and arrival at the destination in navigation system. To verify effects of casual alert of the proposed Fun'iki Navi, the Fun'iki Navi is compared with the Google Maps navigation in terms of a viewing time of the smartphone or downward direction and subjective assessments. As results, the proposed Fun'iki Navi decrease 97.1% of the viewing time of smartphone or downward direction on average. The proposed method realizes society with few distracted walking accidents.
関連動画:
https://youtu.be/SN0hDORrA38
はじめに:
現在スマートフォンの個人の保有率が急速に増加しており,2011年に14.6%であったものが,2016年には56.8%と5年間で4倍に上昇し、東京都内の歩きスマホ事故による救急搬送者数は,平成26年は31人なのに対し,平成28年には58人と2年で約2倍に増加している。これらのスマートフォンの保有率と事故件数を見ると,今後も歩きスマホ事故による救急搬送者数は増加し続けると考える。そのため,歩きスマホ対策に取り組む必要がある。
技術背景:
現在,携帯大手3社から歩きスマホ防止アプリケーションが提供されているが、NTTドコモの契約数は2018年3月期で約5,010万台に対して、歩きスマホ防止アプリケーション「安心モード」と「安心フィルター」の2018年11月現在の累計ダウンロード数は約10万と、契約者数に対して歩きスマホ防止アプリケーションのダウンロード数が約500分の1と低い。原因は,歩きスマホ防止アプリケーションへの利用意向度が低いことにある。
先行研究の「一時的UXを向上させ利用意向度を高める歩きスマホ防止アプリケーション」では利用意向度を高め,安全に歩きスマホをできるアプリが開発されている。このアプリでは,歩きスマホ中のユーザに危険の迫った方向を矢印で表示し,ユーザに知らせて注意を促す。このアプリによって,歩きスマホ事故の減少に大きく貢献できるが、より多くの事故を減らすには、スマートフォンを使用しなくとも情報を得られる仕組みが必要である。
提案手法:
本研究では,地図アプリの確認による歩きスマホ事故を防止するため,メガネ型情報端末である雰囲気メガネのLED光色と音通知によるよるさり気ない道案内システムFun'iki Naviを提案する。Fun'iki NaviはAndroid端末と雰囲気メガネで構成され、雰囲気メガネの制御はBluetooth通信を用いて行う。Fun'iki Naviでは、入力情報としてGPSによる現在地を使用し、出力情報として、雰囲気メガネによる5色のLED光色および音を用いて、右左折方向、右左折地点までの距離、経路逸脱、目的地の通知をする。
評価:
本研究では、Google MapsとFun'iki Naviの比較し、道案内通知が状況に適切か,通知のさり気なさ,危険回避の効果を検証する。検証目的の「さり気なさ」を,行動(人の行動を阻害しない)、主観(不快感を与えない)ものとする。検証実験では、定量的評価として、行動を評価する道案内時間,下を向いた時間,ルート逸脱回数の3項目と,主観を評価する,通知の分かり易さ、危険を感じたか、安全性、通知のさり気なさ,利用意向度の5項目の合計8項目を評価する。
検証の結果、平均案内時間ではFun‘iki Naviの方がGoogleMapsより8%長くなった。スマートフォン確認時間及び下を向いた時間の平均では,Fun'iki NaviはGoogleMapsの1/35に減少し,有意差があった。ルート逸脱率はFun'iki Naviが8%高くなった。アンケート調査の結果では,すべての項目でFun'iki Naviが上回った。アンケートの「人がいたときに危険を感じたか」,「道案内の安全性」では有意差があった。
まとめ:
本研究では,ナビゲーションアプリの確認による歩きスマホ事故を防止するため,メガネ型情報端末を用いたLED光色と音通知によるさり気ない道案内システムFun'iki Naviを提案した。検証の結果,複数のLED光色を使用することによって案内の分かりやすさにつながり,安心感を与えられることが分かった。だが,LED光色を多用しすぎると,分かりにくくなることも分かった。利用意向度には,案内の分かりやすさ,安心して使用できることの2つが少なくとも関係することがアンケート調査の結果から把握できた。
共同研究:
関連研究:
Takumi Ishikawa and Yoichi Yamazaki, "Distracted Walking Accident Prevention by LED Color and Sound of Glasses-type Wearable Devices," 2020 IEEE International Conference on Consumer Electronics (ICCE), Las Vegas, NV, USA, 2020, pp. 1-2, doi: 10.1109/ICCE46568.2020.9043080. (Best Poster Video Award (Viewer's selection))
石川拓実, 馬場亮太, 庄司直紘, 宮井智也, 山崎洋一, "肥満防止および解消をサポートする LSD ランニングの速度維持システム Running Smart," The 16th IEEE Transdisciplinary-Oriented Workshop for Emerging Researchers (The 16th IEEE TOWERS), pp.30, B19, 2019.10
石川拓実, 山崎洋一, "メガネ型情報端末を用いたLED光色と音通知によるさり気ない道案内システムFun'iki Navi," 第24回CDS研究発表会, CDS-24(32), pp.1-7, 2019.1 (学生奨励賞)
石川拓実, 山崎洋一, "歩きスマホ事故を防止するメガネ型情報端末のLED 光色を用いたルート案内システム," The 15th IEEE Transdisciplinary-Oriented Workshop for Emerging Researchers (The 15th IEEE TOWERS), pp.49, C2, 2018.11
https://gyazo.com/71c7de59f100448c29cdb7f29fbd171b