コミュニティ・アカウントの試みについての覚え書き
書いた人:Nighthaven
1. ソーシャル・メディアは影響力を持つ人がより影響力を行使できる空間になっている.
ソーシャル・メディアにおける講読関係を観察すると,アカウントの特性によって講読関係にちがいがあることに気づく.
twitterを例にとると,いわゆるインフルエンサーと一般の泡沫アカウントにはフォロー/フォロワー関係に非対称性の有無があり,インフルエンサーがフォロー3人/フォロワー100000人であるなら,泡沫アカウントはフォロー30人/フォロワー17人だったり,フォロー300人/フォロワー315人だったりする.
ここにはインフルエンサーが多数のフォロワーに上意下達的に情報を発信できるのに対し,泡沫ユーザーが涙ぐましい相互フォローの力学のなかに生きていることが見てとれる.
このような非対称性はインフルエンサーだけでなく,企業アカウントにも見られる(フォロー0/フォロワー20000のような).
2. 現在のtwitterはインフルエンサーにとっても使い勝手の悪いものになってきている.
投稿がフォロワーに表示されない.
以前ほど投稿が拡散しない.
クソリプや炎上リスクがある.
3. 巨大なネットワーク上に個人がとりのこされている.
つぶやいても反応がない.
反応をもとめておもねる.
感情の不法投棄をおこなう.
4. 個とマスの間をとりもつ何かが必要ではないか?
タイムライン第Ⅰ層に自然に溶けこむようなかたちで.
5. 既存のソーシャル・メディア(特にtwitter)にみられるconflictsを解消し,居心地の良い空間を取り戻すため,コミュニティ・アカウントという概念を提案したい.
集約と反射を基本的な役割とする.
フォローは0人.
コミュニティが掲げるトピックに対するメンションを集め(=集約),リポストによってアカウントのタイムラインにそれらを表示させる(=反射).
6. いくつかのアカウントを計画し,コミュニティ・アカウント実証実験をおこなっている.
現状,つぎのコミュニティ・アカウントを設置.
7. 実証実験から,うまくいきそうなタイプとそうでないタイプが見えてきた.
コミュニティのテーマが絞り込まれていて,投稿がしやすいアカウントにメンションが集まる(例:ブルスコ写真部,BOB).
コンセプトが抽象的すぎるアカウントにはメンションが飛ばない(例:関心❗).
やや難解だが,きっかけがあれば投稿が増えそうなテーマもある(例:お嬢様部)
8. コミュニティ・アカウントは様々な応用が可能で,前途有望である.
インフルエンサーにもよい.ファンとの対話空間をモデレーションをコントロール(=メンションをリポストするかは管理者が制御できる)しながら実現できる.
AT Protocolで計画されているフィードモデレーションよりも精度が高くなるのではないか?