2025年4月読書会メモ(まゆめろん)
鈴木大介 (著)
幻冬舎新書
第1章 「なぜ?」の原風景
第2章 自己責任的に見える当事者
第3章 やっとわかった彼らの言葉
第4章 「働けない脳」の僕たち
第5章 なぜ彼らは座して破滅を待つのか
第6章 なぜ彼らは制度利用が困難なのか
第7章 「働けない脳」でどうするか?―当事者と周辺者・支援者へ
第8章 唯一前進している生活保護界隈
最終章 貧困の正体
筆者のプロフィール(抜粋)
文筆家。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、『最貧困女子』(幻冬舎新書)、『ギャングース』(講談社、漫画原作・映画化)、『老人喰い』(ちくま新書、TBS系列にてドラマ化)などを代表作とするルポライターだったが、2015年に脳梗塞を発症。高次脳機能障害の当事者となりつつも執筆活動を継続
この本の面白いところ
過去に筆者が取材した貧困当事者に対する「なぜ?」という違和感・憤りから始まる
筆者が同じ立場(脳機能障害)になって初めて理解に至り、当事者に懺悔しつつ彼らの当時の言葉を翻訳する
なぜ貧困当事者は自己責任的にに見えるか
脳の障害は目に見えない
足を骨折したなどなら見た目から困難がわかってもらえる
できること・できないことの差が意味不明
嫌いな相手へのメール返信30分で半日はもう何もできないくらいの疲労感
動画編集は10時間ぶっとおしでもできる
どんな症状に悩まされるのか
脳性疲労
健常者の「疲れ」とはレベルが全然違うが、健常者の感覚では「サボり」に見える
理解されないのでカミングアウトできない
注意障害
探し物が異様に苦手、時間が溶ける
本や資料を読んでいても読むべき行に視線を止めておけない
券売機のボタンが探せない
短期記憶の機能低下
小銭入れに目を落とした瞬間に金額がわからなくなる、買い物の会計すらできない
「すっぽかし」「ダブルブッキング」が頻発
その場で手の甲にメモのうえスケジュール帳に手を重ねて転記
論理的コミュニケーションの喪失
相手が持論を展開しているうちに自分の言葉が消えていく
著者: もし警察官に「お前、痴漢しただろ」などと冤罪をかけられたら、絶対に弁解できないから恐怖
不安な気持ちが脳機能をさらに低下させる
督促状のことを考えると頭が回らなくなる
『隷属なき道』の「第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる」にも通じる
今後も考えていきたい
ワーキングメモリや脳疲労の問題について理解を深めたい
脳のしくみをもっと知りたい
脳機能障害の人たちが生きやすい世の中はどうしたらできるのだろうか
記憶に頼らない生活術
私だっていつ脳機能障害に陥るかわからない