2022年2月読書会メモ(まさきいずみ)
きっかけ
感情は何の役に立つのかということを昔考えたことがあります。
内容
熱力学における自由エネルギーを脳科学分野に転用したのが、「自由エネルギー原理」
知覚、運動、意思決定、好奇心がすべて同じ原理で説明される。
脳は推論するシステムである。
脳からトップダウン的に予測信号が出ていて、外からくる感覚信号の差分が最小化するように推測を修正していく。
網膜から受け取った二次元の画像を脳内で推測により三次元にしている。
気になった点
ドーパミンは、電気信号をシナプスの受容体で増強したり減弱したりする。信号の精度を決める。
運動は能動的推論である。
運動野が出す信号は「筋感覚の予測信号」(「運動するとこのような筋感覚信号が観測されるはずだ」)
アフォーダンス機能:哲学の解説書で見たぞアフォーダンス
いま、目の前のコップに手を伸ばす場合を考えてみよう。この場合、このニューロンは、コップの外受容感覚(網膜像)と、コップを保持するための自己受容感覚の予測信号を出力すると考えられる。これは、コップを見ただけて自動的にそれをつかむような身体の調節がなされることを意味しており、「アフォーダンス機能」と呼ばれている。
感覚減衰:自分を自分でくすぐってもくすぐったくない
感覚減衰が起こることで運動終了後の予測への感覚フィードバックがなくなり、外刺激に運動が惑わされない。
感情
基本6感情:怒り、恐れ、悲しみ、幸福、驚き、嫌悪
ポジティブな感情は1つしかない!?
情動:外的刺激や記憶の想起による内臓や血管の状態変化
感情:情動に伴う主観的意識体験(気持ちの変化)
ホメオスタシス:体の状況が外的環境に一定になるように保つ機構
アロスタシス:外的環境の変化が大きくなってホメオスタシスが乱れないように、事前に設定値を変更する機構
怒り:心拍数の上昇、体温の上昇
恐れ:心拍数の上昇
悲しみ:心拍数の上昇、血圧上昇、心拍リズムの不規則化、呼吸数の減少、涙の分泌
アロスタシスによって引き起こされる内臓状態制御を脳が推論することによって感情が生まれる。
内臓感覚を意識すれば、ネガティブな感情もメタ認知できるのでは!?
第一段階:好奇心による仮説生成、第二段階:洞察で仮説を単純化する
睡眠は起床時に複雑になってく脳内モデルをシンプルにする役割がある。
シナプスが全体的に結合が弱くなり、強い結合だけ残る。睡眠が学習に効果的というのの裏付けになるのかも。
統合失調症:相対的に予測信号>感覚信号
自閉症:相対的に測信号<感覚信号
自由エネルギーの最小化で説明する進化
10^-3秒:知覚と行為
10^0秒:学習と注意
10^6秒:神経発達
10^15秒:進化
(略)知覚と行為、学習と注意、神経発達、進化は、それぞれ時間スケールや処理過程が異なるものの、同じ自由エネルギー最小化の原理に従って実現される。
感想
切り方が色々あって、切り方によっていろんなネタ元にできるのでは!?
125ページしかないですが、用語や理論が複雑でした。
長期的にサプライズを減らすことを目標とするのが「自由エネルギー原理」で、そのためには勉強しないといけないよねーといったことが説明されていました。
本を読むだけではいまいちわからなかったところがそういうことかーと納得できました。
最近読みはじめてよかったマンガ
福田晋一『その着せ替え人形は恋をする』スクエアエニックス mailman.icon👍
西森博之『カナカナ』小学館