rebeccapurple
https://scrapbox.io/files/66a281b8cd8bc3001d80b4e4.png
named-colorを漁ってて「面白い(※interesting)エピソードだなぁ」と思ったので、書き留めておこうと思います。
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2014年、"CSS Colors Level 4"にて追加されたnamed-color。#663399を表す。
その名称は、CSSの標準規格に大きく貢献したEric A. Meyerの娘のRebeccaに由来する。
CSSの標準規格に大きく貢献したEric A. Meyerの娘のRebecca(幼い頃の愛称 : Becca)は、6歳と12時間という若さにして脳腫瘍で亡くなった。
Ericは娘の闘病と自身の苦悩をブログに記していたため、Rebeccaの回復を多くのWeb界隈の人が祈っていた
(原文)
All the caring and all the medicine, all the prayers and all the love from friends and strangers, could not stop this cancer from claiming this child.
Caught between horror and hope, all of us watched as the Meyer family fought to save their beautiful middle child’s life.
(和訳)
あらゆる思いやりや医学、友人や見知らぬ人からの愛や祈りをもってしても、この子ががんに侵されることを止めることはできなかった。
恐怖と希望の間で、Meyer一家が美しき真ん中の子供を救うために闘うのを、私達全員が見守った。
※RebeccaはMeyer家の3人の子供のうち2番目の子供だったため"middle child"と書かれていると思われる
(参考文献(1)より)
Rebeccaの死を追悼する意味をこめて、"#663399Becca"というタグでハッシュタグキャンペンーンが行われた。
"#663399"は強い紫色。Rebeccaが生前好きな色と語っていたのが紫色だったそう。
(原文)
Rebecca Meyer had a favorite color. It was purple. A color that might be expressed in the hexadecimal language of web design as #663399.
<……中略……>
Rebecca will be buried this Thursday, 12 June.
On that day, let us celebrate Rebecca by calling the internet’s attention to her.
In the words of Matt Robin, who came up with the idea, “let’s get #663399Becca trending for Thursday 12th.”
(和訳)
Rebeccaには好きな色があった。それは紫だった。その色はおそらく、Webデザイン上の16進数表記で表すなら「#663399」と表されるものだろう。
<……中略……>
Rebeccaは今週木曜日、6月12日に埋葬される。
その日に、インターネット上でRebeccaへの注目を呼びかけることで、わたしたちは彼女を讃えようではないか。
このアイデアを思いついたMatt Robinの言葉を借りるなら、『12日の木曜日に、"#663399Becca"をトレンドにしよう。』
(参考文献(1)より)
このムーブメントに関連して、「カラーコード#663399をBeccaPurpleと名付けて標準化しよう」という動きが現れ、多くの賛同を呼ぶ。
(原文)
I’m not sure about how one goes adding names to CSS colors, and what the specific purpose they fulfill,
but I think it would be a good recognition of @meyerweb impact on CSS,
and a way to recognize that standardization is first and foremost a social process, to name #663399 color “Becca Purple”.
(和訳)
CSSの色にどのように名前をつけるのか、またそれを果たす意義が何かはわかりませんが、
#663399を"Becca Purple"と名付けることは、MeyerがCSSに与えた良い影響を認識すると同時に、
標準化という行為がまずなによりも社会的なプロセスであることを認識する方法だと考えます。
(参考文献(2)より)
この動きが広がったタイミングで本人が巡回し、CSS標準の制定を担うWorking Groupに「Working Groupの総意を受け入れる」と伝える
(原文)
I let the editors of the Colors specification know that I will accept whatever the Working Group decides on this issue, pro or con.
The WG is debating the matter now.
(和訳)
私はCSS Colors仕様の編集者たちに、私は賛否を問わずWorking Groupの決定を受け入れると伝えた。
Working Groupが現在この問題について議論している。
(参考文献(3)より)
同時に、「実際に制定するなら、BeccaPurpleでなくRebeccaPurpleでなくてはならない」ということも話したらしい。
(原文)
I did set one condition: that if the proposal is accepted, the official name be rebeccapurple.
A couple of weeks before she died, Rebecca informed us that she was about to be a big girl of six years old, and Becca was a baby name.
Once she turned six, she wanted everyone (not just me) to call her Rebecca, not Becca.
She made it to six. For almost twelve hours, she was six.
So Rebecca it is and must be.
(和訳)
私は一つの条件を設定した。それは「もしその提案が承諾されるなら、その名前をrebeccapurpleとする」ということである。
亡くなる数週間前、Rebeccaは私にもうすぐ6歳の大きな女の子になると告げた。そして、Beccaは幼名(幼い頃のあだ名)だった。
「6歳になったら、(私だけでなく)みんなにBeccaではなくRebeccaと呼んでもらう」ことを、Rebeccaは望んでいたのだ。
彼女は6歳になった。ほぼ12時間もの間、Rebeccaは6歳であったのだ。
だからこそ、"Rebecca"と呼ぶべきだし、そうでなければならないのである。
(参考文献(3)より)
この提案は受け入れられ、CSS Colors Level 4にて、rebeccapurpleがCSS標準として制定され、各種ブラウザもこれに対応した。
参考文献
Eric A. Meyerに敬意を。そして、勇敢なるRebeccaに愛と称賛を。