C. elegans覚書
各種データベース
Worm Breder's Gazette: paperにならない小さいネタ
線虫の基本的な情報
成虫:1 mm
基本は雌雄同体Hermaphroditic。300個卵を産む。99.9%が雌雄同体。0.1%がオス
https://gyazo.com/7642b8e2fe72eeb14e64ff109b731e53
飼育温度で増殖速度が変わる。2-3匹成虫をプレートに置くと、20℃で3-4日で成虫が増える。15℃で7-10日で成虫が増える。
Byerly et al, 1976, C. elegansの成長速度と温度の関係を調べた論文がある
1年以上飼育すると、変異が入って増えが悪くなる。最低でも6ヵ月に1回は新しく起こしなおす。
https://gyazo.com/13b9b52697f5ebfa0f85794566cd3f10
30℃、6時間のヒートショックでオスが生まれる確率が1%になる。
かけ合わせ(まだ習っていない)
朝、10-20匹くらいのL4幼虫を1プレート(6 cm)に置く。ヒートショック。夕方20℃に戻す。
3日後にオスを取り、かけ合わせたいラインを混ぜる。
掛け合わせ: 3cmプレートに雄6匹+雌雄同体2匹(ただしL4)、餌は真ん中に少しだけ置くと交配確率が増すと思う。
準備
プレート、大腸菌は滅菌操作でやる。エアコンを切って、バーナーの近くでやる。
プレート(agar 3 mL/35 mm, agar 8 mL/6 cm)。1-2ヵ月は保存できる。
大腸菌(OP-50, ウラシル要求性で増殖が遅い株)をLBで増やす。37℃のインキュベーターに置いておく。増えたら、4度。1-2ヵ月は保存できる。
起こし方
6 cm プレートを用意
-80℃にストックした線虫を手ですぐ溶かす(あまり温めすぎない)
6 cmプレートを斜めにして、端っこにストック溶液を加える
斜めにしたまま顕微鏡で見てみる。L1, L2が多ければよい。成虫やDauerは起きない。
20℃で斜めにしたまま放置。液がagarに吸われる
次の日に、幼虫をピックアップする
カビなどのコンタミが嫌なので、早めに継代する
ストックの作り方
線虫を用意する。大腸菌を食べつくしてL1, L2がたくさんいるような時期が最適。
2匹 6 cmに植えついで、15℃で1週間くらいが目安
M9 + Gelatin (チップに線虫がくっつかないためにGelatinが入っている)を室温に戻しておく。 これ以降は滅菌操作する。
線虫のプレートを斜めにして、M9 + Gelatin を 1.5 ~ 2 mL加える。
250 uLずつクライオチューブに入れていく。total 500 uL
-80℃で保存。長期保存は液体窒素で。
25 uL 4M NaOH (実験机の上) + 40 uL ブリーチ + 75 uL DDWを混ぜる
6 cm大腸菌ありのプレートに、端っこに上の溶液を垂らす
その中にAdultの線虫を6-10匹入れる
あとは、勝手にブリーチ液が吸収され、卵から線虫が生まれてきて増えてくる
・同調などの目的で卵(胚)だけを単離するときなどに使う。Bleach処理により、線虫の卵だけが生き残ります。
1) Alkaline bleach mix を作る。1N NaOH : ブリーチ(花王ハイターなど*)= 5 : 2 に混合する
このmixは少なくとも20日間は室温で保存可。
*試薬のNaClOより市販の漂白剤がベター。買うときによく組成を見て、界面活性剤の含まれていないものを使うこと。ブリーチは古くなると(半年程度以上)、効きが悪くなります。頻繁に買い直す必要がないように、新しいうちに分注して(その際できるだけ空気が入らないようにチューブの上部まで入れる)、-20℃に保存することも有効。
2) 線虫をM9バッファで洗いとってエッペンドルフチューブに入れる。落ちている卵も欲しい場合は大腸菌ごとピペットでこさぎとる感じ。
3) 3000rpm×30"~1'遠心。
4) 上清を除き、1)のalkaline bleach mixを加えて懸濁。チューブを横にして3分間置く。時々混ぜるとよい。(終盤に線虫が一部壊れ始めるのが見えるはず。)
5) 素早く3000rpm×30"遠心後、上清を除く。すぐ少量(数μl)のM9に懸濁する。ピペットマンで吸い、実体顕微鏡で見ながら、適当な数の卵を餌を塗ったプレートに置く。
(補足)Bleach処理が長すぎると卵が死ぬので、素早く処理できない場合は一回M9で洗った方がよい。
カメラ付き実体顕微鏡
Thinkpad(ID: Worms, password: elegans221)
プログラム > Point Gray FlyCap2
記録もできるはず
アガープレート NGM agar (Nematode Growth Medium agar) の作製
4℃でカビが生えず、乾くまで長期間保存可能。
table:NGM agar
1 L 500 mL
NaCl 3 1.5 g
Agar 17 8.5 g
Peptone 2.5 1.25 g
Cholesterol (5 mg/mL inEtOH) 1 0.5 mL
DW 975 487.5 mL
オートクレーブ(次のCaCl2, MgSO4も瓶ごとA/C。Pattasium phosphateは必要量を瓶に移してA/C)
table:ある程度冷めたら以下の試薬を加える
1 L 500 mL
1 M CaCl2 1 0.5 mL
1 M MgSO4 1 0.5 mL
1 M Pottasium phosphate 25 12.5 mL
3 mL/30 mm dish (166枚/500 mL)
7 mL/60 mm dish (71枚/500 mL)ずつplateに入れる
2~3日室温で静置して乾かしてから4℃に保存
M9 Bufferの作製
table:M9 Buffer
1 L 500 mL
KH2PO4 3 1.5 g
Na2HPO4 6 3 g
NaCl 5 2.5 g
DW up to 999 mL up to 499.5 mL
with or withoout 0.05 % gelatin
100 mL瓶に小分けにする場合は、99.9 mLぐらいずつ分注する
オートクレーブ
table:ある程度冷めたら以下の試薬を加える
1 L 500 mL 100 mL
1M MgSO4 1 0.5 0.1 mL
→線虫株ストック作製やchemotaxis assayなどにはgelatin入りのものを使用する。
餌(大腸菌 OP-50)の撒き方
4℃から餌が乗ってないアガープレートを持ってくる
4℃から1xLBで液体培養した大腸菌OP-50を用意する。
OP-50の液体は4℃で2ヵ月くらい保存可能。
新しく作る場合は、1x LB 300 mL in 500 mL瓶にちょんちょんと植菌して、1-2日37℃で静置。増えたら4℃
コンタミ防止のため、エアコンを切る。
ガスバーナーをつけて、滅菌操作する。
10 mLのディスポのピペットで300-600 uL/6 cm dishくらいずつアガープレートのうえに撒いていく。
プレートに広がりすぎないようにする。
室温で2-3日放置。乾くのは数時間くらいで乾くが、大腸菌の絨毯ができるまで増やす。
インジェクション用アガロースパッド作り
クリアファイルフォルダー(実験デスクに黄色のやつがある)の上に24x40 mmのカバーガラスを並べる
室温で固まっている2% agarose in ROをレンジで溶かす。熱いので手袋する。
P1000のピペットとブルーチップで 2滴くらい垂らす。
すぐに新しいカバーガラスを十字になるように乗せて、アガロースを広げる
ちょうど円形になるくらいがいい。アガロースが多すぎると厚くなりすぎる。
繰り返す。
数分くらいではがす。うまくいくと片方のカバーガラスにアガロースパッドができる。もう一枚のカバーガラスは再利用できる。小さい破片が残っても、それをインジェクション用に使える。
室温でovernightとかで乾かす。埃がつかないように上に蓋みたいなものを置いていてもいいかも。
実験デスクの引き出しにしまっておく。
インジェクション
線虫の用意
状態のいい線虫を用意しておく。StarveしているとAgar padに置いたらすぐ死ぬ。インジェクションもできない。
針の準備
プラーの電源を入れる。
プラーに針のガラスキャピラリーをセットする。上と下。下のは上に持ち上げてからセットする。
Startで勝手に落ちる。2段引き。
パラメーター:Step1, Lv1, 66.0. Step2, Lv1, 66.2, Lv2, 62.0
針の先に気を付けて粘土に付けておく
事前に多めに作っておく。当日に引く必要はない。
DNAの準備
Total 10 uL, 濃度は各プラスミド 5 - 100 ng/uL にする。プローブとかは100 ng/uL, マーカーは30 ng/uL Rescueとかは5-10 ng/uL
トータルの濃度はあまり重要ではない。
線虫インジェクション用DNA計算シート(ラボ内のみ)
TE で溶かす。
DDWで溶かしたら詰まって出なかった
10000 rpm, 10分くらい遠心してゴミを落としておく。針が詰まらないように。
フィルターを通す方法もある
上清を使う。
針にDNA溶液を入れる。
細いチップ(エッペン P20でないとはまらない)をつけて、1.1 uL吸って、加える
振って針の先まで溶液がくるのを確認する。
マニピュレーターに取り付ける
アガロースパッドの準備
アガロースがあるほうを確認する。爪でひっかいて抵抗があるほうがアガーパッドがあるほう。
裏側にマジックでアガロースの領域が分かるように淵とグリッドを書いておく
Halocarbon oil 700をつまようじやチップで適当にアガーパッドの上に垂らす
24x40のカバーガラスは6 cm dishの蓋にのせて運んでいる
インジェクターのスイッチを入れる
窒素ガスのを空ける。大元の弁を空けている。反時計回りに六角みたいなやつでまわすと空く。2次弁が0.4くらい、1次弁は1くらい。
インジェクターの調整はそのまま。
on-timer, off-timerは必要無い
injが120-200 kPa
通常は145 kPa。詰まったなと思ったら160 kPaくらいまで上げたら出た。
balが66kPa(常に出る圧。でもこれはoffにして使っている。)
針が詰まっていないことを確認する
オイルを乗っけたアガーパッドを顕微鏡のステージにのせる。
x 5の対物にし、マニピュレーターを動かして先端が中心になるように移動する
針の先端がオイルにつくくらいまで下す。粗動のマニピュレーターの下がZ軸を動かすもの。反時計回りで上に、時計回りで下にZが動く
x 5の対物で目で見て先端が見えるようにマニピュレーターで針を移動する
x 40の対物に交換して、針の先端が見えるように調整する。
フットスイッチを押して、液体が針から出るのを確認する
でたらそのままマニピュレーターを真上の動かしてアガーパッドをどける
線虫をオイルパッドにのせる
ピッカーを火であぶる。
ちょっとオイルを白金に付ける。こうしないとピックした線虫が乾いたピッカーの上からなかなか離れず死ぬ。
成虫を1-3匹くらいピックして、オイルパッドの上に乗せる。ゆらゆらすると線虫がはがれる。
下に沈むと水分が吸われて動かなくなる。ピッカーで押し付けるとくっつくようになる
ここからは急いで実験する。乾燥すると死ぬ。
線虫の生殖腺にインジェクションする
線虫をのせたアガーパッドを顕微鏡にもっていく
x 5で目的の線虫を中心に持ってくる。
x 40に換える。針を見える位置にもっていく。
線虫の生殖腺を見つける。
透明でよく見ると表面に鳥肌みたいな規則的なぼつぼつがある。
ピントを上下にわずかにずらすと見える。生殖腺の細胞が上下に1列ずつ並んだような構造が見える。
生殖腺のたかさに合わせて針を調整。
斜め45度くらいの角度で刺す。マニピュレーターではなくステージを動かして指す。かなり奥までいかないと刺さらないかも。
刺さったら、生殖腺の真ん中くらいまで位置を戻す。
フットスイッチを押す。ぶわっと大きな袋に液体が広がるのが見えたらOk。
生殖腺の左右両方にインジェクションするのが理想的だが、自信がなければ片方でもとりあえず大丈夫。
線虫をアガーパッドから回収する
実体顕微鏡にアガーパッドをうつし、M9 buffer を 1 uL弱垂らす。
M9 bufferが線虫に届くと、線虫が動き出す。
ピッカーで線虫を拾う。かなり難しい。
線虫を新しい6 cmディッシュに移す。
1つの6 cm dishに2-3匹くらい移す。
大体、5-6匹くらいインジェクションするらしい。自信がなければ10匹
23℃だと2-3日くらい、15℃だと1週間くらいで蛍光顕微鏡観察できる。
Correct injection site of worm's gonad
https://gyazo.com/9b06df26d41ea3ddac0a0192f818f880
(Generation of Caenorhabditis elegans Transgenic Animals by DNA Microinjection
M Rieckher, N Tavernarakis - Bio-protocol, 2017)
https://gyazo.com/5f85a32efd00b8ce58f0b98ad43baabf
https://gyazo.com/561ed2b9b59118c738e2f8500e5e5396
(from The Chin-Sang Lab HP)
大体の時間経過
Day -3 ~ 4 線虫継代(前の週)
Day 0朝(月):インジェクション, 23℃でculture
Day 2朝~2夕方(水):ピックアップ。35 mmに1匹ずつ移す。難しい。F1光っているやつ最低5匹分は移す。23℃。
Day 3朝(木):卵産んでるくらい。まだまだ。昼くらいにL1が動き出している。23℃
Day 4朝(金):朝。23℃でculture。まだ幼虫。ピックするには早い?しかし、来週の月曜にピックするため、15℃に置く。
Day 5朝(土):23℃でF1をずっとcultureするなら、土曜に朝ピックアップが良さそう。
Day 7朝(月):F2をピックアップ。光っている線虫を2匹、6 cmプレートに移す。15℃で。
Day 14朝(月):F3移行をピックアップ。ストックなど。
線虫のイメージング
2% アガーパッドのアガーの準備
5 mL 試験管(ガラス)にアガーを0.08 g加える。
Vortexしガスバーナーの火であぶって溶かす。この時、鉄製の試験管ハサミで試験管を挟む。すぐ沸騰するので、こぼれないように温める。
全部溶けたら、蓋をして70℃に置いておく
アガーパッドのつくりかた
カバーガラス(24x40) をアガーパッド作製用のガラス板に載せる。ガラス板は70℃に温めておく。
2%アガーロースを100-125 uL垂らす。
縦にカバーガラスを置く。アガーが広がって四角になる。
70℃から外して冷やす。2-3分くらいで固まる。
カバーガラスを少しずつはがす。
1-10 mL Tetramisole(線虫用麻酔)を数 uL アガーに垂らす。
接着剤(DERMA BONDO, 池田理化)でも良いがつけるのが結構大変
他にもNaN3でも麻酔になる。これもよく使われる。細胞の呼吸が止まるらしい。
Tetramisoleの上に線虫をのせる。すぐに動かなくなる
上からカバーガラスをのせる。
Imaging。IX83のカバーガラス用のステージが必要。
遺伝子ベクターなどの情報
3'UTRは一般的には unc-54 を使っている。
ATGの前に、AAA or AAAA を入れる必要がある。
プラスミド。pDEST R4-R3に
LR反応は、濃度が大事。pDESTが高め 200 ng/uL。残りのpos1, 2, 3の濃度は50 ng/uL。4プラスミドを0.5 uLずつ混ぜて、2 uL TEを入れて, 1 uLのclonaseを入れて全量を5 uL。Vortex を 2回。室温か25度にして、数時間からovernight。
この反応液にprotenase Kを0.5 uL加えて分解させる。
あとは普通にtransform
rab-3: 全神経
eft-3: 全細胞(飯野先生)
rpl-28:全細胞
ges-1: 腸
vha-6: 腸
myo-3: 筋肉
gcy-5: ASER神経(Rは神経)
flp-6: ASE両方
2468 unc-122p::gfp
2469 unc-122p::mCherry
injection marker (coelomocyte) が光る
lin-44
injection marker (しっぽの細胞) が光る
DAF-2, insulin receptor
DAF-2 mutant, dauerになりやすい。
25度だとL1, L2は100% dauerになる。
15度で増やしたいならこれで培養しないといけない。10日以上必要。20度だと半分がdauer。