外国法の基礎(2025):アメリカ法の基礎と概説①~③
担当: 中村 良隆
■ 授業の予定
・主にアメリカ合衆国憲法について取り上げることを予定しています。
9月23日: アメリカ法の基礎と概説①: 英米法と大陸法、英米法の特徴、アメリカ法の特徴、「法の支配」、違憲審査制
9月30日: アメリカ法の基礎と概説②: 合衆国憲法の制定、連邦制、権利章典と人権規定の「組み入れ」、Duncan v. Louisiana, 391 U.S. 145 (1968)
10月7日: アメリカ法の基礎と概説③: 大統領の免責について:Trump v. United States, 603 U.S. 593 (2024)
■ 第1回目の授業(9月23日)までにやってきてほしいこと
(1) 英米法と大陸法の違いについて比較した表を、わかる範囲で埋めてきてください。
(2) さらに余裕がある人は、英文の資料"The Common Law versus Civil Law Traditions"の1ページ目を読んできてください。
■ 第2回目の授業(9月30日)までにやってきてほしいこと
(1) アメリカ合衆国憲法の条文にどんなことが書かれているか、目を通してきてください。日本国憲法の構成は、「第1章 天皇、第2章 戦争の放棄、第3章 国民の権利及び義務、・・・」となっていますが、アメリカ合衆国憲法の構成はどうなっているでしょうか?
(2) さらに余裕がある人は、判例Duncan v. Louisiana, 391 U.S. 145 (1968)の日本語および英語の資料を読んでみましょう。
■ 第3回目の授業(10月7日)までにやってきてほしいこと
(1) 第2回目の授業についてのミニット・ペーパーをメールで送ってください。
(2) 判例Trump v. United States, 603 U.S. 593 (2024)についての資料(朝日新聞の記事)を読んできてください。
(3) さらに余裕がある人は、判決文の日本語レジュメおよび英語の資料を読んできてください。
■ その他
・第1回目の授業時に、受講者のみなさんが特に興味・関心のある法律分野などを教えてほしいと思います。受講者数が少なければ口頭で話してもらい、多ければ紙に書いてもらいます。
・毎回の授業後、ミニット・ペーパーを書いて提出してもらいます。ミニット・ペーパーは平常点として評価します。
ミニット・ペーパーに書くべきことは、①今日の授業で学んだことのうち、最も興味深かったこと(中心的な、役に立つ、意味のある、驚いた、あるいは問題だと思われること)、②一番心に残ったこと・気になったこと、③授業を聴いて思い浮かんだ疑問・質問などです。これらの全部を書く必要はありません。分量は、長くてもA4版半分くらいで結構です。
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2025/09/23
1.英米法と大陸法
2.英米法の特徴
3.アメリカ法の特徴
4.「法の支配」
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table:<英米法と大陸法>
事項 英米法 大陸法
法源(法の本質) 判例法主義 制定法(法典)主義
法典があるか? イギリス: ×、 アメリカ:憲法典・刑法典 〇 〇
推論の方法 帰納法 演繹法
裁判とは何か? 社会の中に生きているルール(慣習法)を裁判官が発見する(法宣言説) 法律のルールを個別具体的な事件に適用する(あてはめる)。。
政府と法のモデル 法の支配(rule of law) 法治主義(rule by law)
悪法も法であるか?
いつごろできたものか?
裁判官とは何か?
裁判官の役割
違憲審査権 付随的審査制 抽象的審査制
刑事裁判のモデル 当事者論争主義 adversary 糾問主義 inquisitorial
一般市民の司法参加 陪審制 参審制(素人裁判官)
2.英米法の特徴
田中和夫(1971): ①「法の支配」、②判例法主義、③陪審裁判、④コモンローとエクイティ
田中英夫(1980): ①歴史的継続性、②歴史的淵源の多様性(コモンローとエクイティ)、③判例法主義、④各論的考察の重視、⑤救済の強調、⑥私人による法の実現、⑦法曹一元、⑧陪審制
3.アメリカ法の特徴
田中英夫(1980): ①連邦制、②違憲立法審査制、③大統領制、④アメリカ型民主主義、⑤法学教育、⑥法形成における学説の地位
4.「法の支配」