Japan - Yohei Hamanaka (日本語)
日本 - 浜中 陽平 - 2013年度卒業生 / 2014年度研究科生
農家-陽だまり農場
文・浜中 陽平、2020年3月
Network e-Bulletin No. 6, June 2020
アジア学院 - 人生のターニングポイント
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陽平さんの農場
私は2013年度研修生、2014年度研究科生としてアジア学院の研修を終えました。現在はアジア学院から車で40分の那珂川町で新規就農しました。合計2町歩の畑と田んぼを管理し、60種類120品目の作物の栽培をして生計を立てています。
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畑で育てている葉野菜 / 陽平さんとお子さん-自宅に構えた作業場で野菜を梱包し、宅配している
初めてアジア学院を訪れた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。どこか異国に迷い込んで、しかもアジア学院にいる人たち皆、とても輝いているように見えました。その時の自分は何かに挑戦をしてみたいものの、特出した技術や能力もなくずっともやもやする日々を過ごしていました。学生になってからは初めての農作業に加え、言語の壁、文化の違いや葛藤など貴重な経験がたくさんありました。当時の私は他人と自分を比較し、他人に対して劣等感や優越感を持つ事が多く、常に理想の自分に近づけるように自分を偽って表現していたように思います。でも、アジア学院にいる自分と違う文化で育った海外から来た人々にとって、そんな偽った自分はどうでもいいことで、そのようなことを気にしている自分をちっぽけに感じるようになりました。今でもこの癖が完全に治ったわけではないですが、アジア学院を経た今、家族や友人、自分の野菜を食べてくれる消費者と関わるときに、等身大の自分で話すことができるようになってきたのではないかと思います。
アジア学院に入学した当初は新規就農を目指していたわけではなく、どちらかというと海外に出て農業指導やコミュニティ開発に携わりたいと思っていました。研修中はよく海外の学生と国際協力や自国の問題について話し合いました。アジア学院に入学するまでは特に日本の現状や問題点を考えることなく生きてきた私ですが、ある日、ウガンダ出身の学生に「なぜ陽平は日本にもたくさんの問題があるのに海外の問題にばかり目を向けるんだ?」と聞かれ、その時は何も答えられずに2~3日間、悶々とこの質問について考えていました。最終的に私が出した答えは、まず日本の食の問題や農村の過疎化などの問題に向き合える農業をし、自分の中で納得のいく答えが出てから海外に行く、ということでした。これは私にとって、人生の大きなターニングポイントだったと思います。
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陽平さんの農場を訪れるアジア学院メンバー(2020年1月)/ 天気のいい日には外のテラスで休憩時間を楽しむ
私がアジア学院の生活を経て将来の夢への第一歩を踏み出せたように、私の農場も「自分が何をしたくて、自分に何ができるのだろう?」と悩んでいる若者に対して何かターニングポイントになるようなきっかけを与えられる場所にしたい思っています。これが私の原点であり、将来の目標です。新規就農から3年間は、自立した農場経営を目指してひたすら突き進んできました。4年目に入り、経営が何とか軌道に乗ってきたので、これからは民泊やレストラン、小規模畜産経営、果樹、パン屋、食品加工、教育、キャンプ場、林業、YouTuber等…農場に来てくれた人々がワクワクするようなことに挑戦していきたいです。しかし、現状は子育てや農作業、野菜の出荷に追われて、正直なところほとんど時間の余裕がありません。いきなりすべてを達成することは不可能ですが、一緒に挑戦してくれる仲間を集めて、農場周辺に小さなコミュニティを作っていきたいです。そして農業を通してアジア学院で私が学んだ共生の精神を、消費者や次の世代に伝えていきたいと思います。