Bokashi - Japan - ARI - Introduction to Bokashi (日本語)
文・アジア学院
2020年1月
ボカシの世界へようこそ
https://gyazo.com/163abd3c0d01de5b02102961e9fa07fb
ボカシとは?
ボカシとは有機物、土、バイオ炭(もみ殻炭や木炭)にIMO(土着微生物)を混ぜて作る発酵肥料です。ボカシとは日本語でグラデーションのように薄めることを意味します。従来の堆肥や肥料と違って、有機物に土を加え、混合物を発酵させるところに特徴があります。土を入れることで肥料の濃度を薄くぼかします。それでボカシと呼ばれるのです。
アジア学院でのボカシの作り方は下記を参照して下さい。
なぜボカシを使うのか?
米ぬかや油かすを直接畑に撒くと、分解するにつれて酸素を消費しメタンやアンモニアなどの有毒ガスを発生します。それは植物の成長に悪影響を及ぼします。新鮮な糞を畑に直接撒くこともマイナスの影響があり、高濃度の窒素が植物の根を焼いてしまうことがあります。また、生の有機物は害虫を呼び込んでしまいます。
ボカシは有機物や糞を発酵させるのでそういった問題を起こさず、栄養素が植物に届きやすくなります。発酵することにより強い臭気はなくなり、品質を保ったまま1年程度保管できます。また、その材料も選択肢が多く、IMOが使われている限り、ほとんどどんな有機物でも分解され、良い肥料に変わります。
ボカシと化成肥料並びに堆肥を比較してみました。
https://gyazo.com/fa88b1052956269e3c4e9da67842f741
なぜボカシを発酵させるのか?
発酵は化学反応の一種で、微生物や酵素が複雑な有機化合物を比較的単純な物質に分離させます。ボカシの製造過程にて、微生物は有機化合物を植物が吸収できる栄養素へ分解させ、植物ホルモン、ビタミン、ATP(アデノシン三リン酸)、ADP(アデノシン二リン酸)、GDP(グアノシンニリン酸)などの高エネルギーのリン酸化合物を生成します。
発酵のメリット
メタンやアンモニアなどの有害ガスの発生を避け、酸素不足を予防する。
害虫を予防する(生の有機物は多くの虫をおびき寄せる)。
有機物を分解し、植物が吸収しやすい栄養素へ変える。
発酵過程の熱で病原菌を殺す。
微生物による生物的多様性の供給。
植物ホルモン、ビタミンなどを生成。
ボカシの材料
有機物ならほとんど何でも使用できます。アジア学院では日本土着の材料を使用しています。その分量は、鶏糞(発酵床の鶏小屋からの)をコンテナ7杯分、土をコンテナ4杯分、もみ殻炭をコンテナ2杯分、米ぬかをコンテナ1杯分です。アジア学院ではコンテナを使っていますが、なければバケツでも構いません。その場合でも比率は変わりません。それにIMO3を少量(一握り4つ分程度)と水を適量加えます。
https://gyazo.com/98be832eaff45051bdb7b977ebe5c079
糞
コンテナ7杯
種類は何でもいいですが、鶏糞が最適です。なぜなら鶏は消化器官が短いため、鶏糞は主要栄養素が消化されにくいまま高濃度で含まれています。鶏糞を新鮮なうちに集め、日陰で1ヶ月程乾燥させます。アジア学院では鶏小屋を発酵床にしており、鶏糞はもみ殻や木くずによって希薄されています。もし希薄されていない鶏糞をそのまま使うなら、鶏糞の割合を7よりも少なめにするといいでしょう。
主な糞の主要栄養素です。
鶏糞 窒素 3-5%、リン 5-9%、カリウム 3-4%
豚糞 窒素 3-4%、リン 5-6%、カリウム 0.6-2%
牛糞 窒素 2-2.5%、リン 1-5%、カリウム 1-2.5%
糞:
栄養素(窒素、リン、カリウム)を含む。
少量のミネラルを含む。
IMOによって植物が吸収しやすい栄養素へ分解される。
https://gyazo.com/5af41bb26b146fa3708790562212be3b
炭水化物
小麦粉、粉あるいはふすまをコンテナ1杯
小麦、コーン、大豆、サツマイモ、キャッサバなどの粉、ふすまなどは炭水化物の供給源となります。アジア学院では主に米ぬかを使用しています。米ぬかは調達が簡単ですし、費用も比較的安くすみます。
炭水化物:
IMOのえさになります。
保水性に優れています。
栄養保持も優れています。
https://gyazo.com/1f0a0eb4ab887027e97468516564b929
バイオ炭
コンテナ2杯
バイオ炭は穀物の残留物(トウモロコシの茎やもみ殻など)や糞、木材を低温度で炭化させて出来る、炭素に富む炭です。アジア学院では、調達しやすいもみ殻炭を使用しています。バイオ炭はボカシ製造から省かれることもあります。
アジア学院でのもみ殻炭の作り方は以下のページをご覧下さい。
バイオ炭:
炭の細孔はIMOが成長する場所となる。
土壌のpHを中性化させる。
高い保水性と土壌の通気性をもたらす。
リン、カリウム、カルシウムを含む。
https://gyazo.com/5b87508ecf245ca76e958320a25f1ec7
土着微生物 (IMO)
手づかみで4〜5つ
IMOはボカシ発酵の触媒の役目を果たします。有効な微生物は店頭でも購入できますが、土着の微生物を収集するほうが効果的かつ無料です。次の手順で独自のIMOを育てることができます。
IMO1 –土着微生物を集めます。まず、竹を半分に切った容器にご飯を詰めて、林の中20センチくらい埋めます。10日後、容器を掘り出すとご飯に白カビが生えています。これがIMOです。
IMO2 - IMO1に同じ量の黒糖を混ぜ、ふたをして2〜3週間発酵させます。
IMO3 - IMO2に同量の土と米ぬかを加えて混ぜます。
IMOの収集について詳しくは以下のページをご覧ください。
IMO3の代わりに昨年製造したボカシを使うこともできます。ボカシにはIMOがもうすでに入っています。
IMO:
分解を早める。
有機化合物を吸収しやすい栄養素へ分解する。
植物ホルモン、ビタミン、ATP、ADP、GDPなどの高エネルギー性リン酸化合物を生成する。
https://gyazo.com/4fdd3e3ecd1abe9d67a691a7802b66c8
土
コンテナ4杯の粘土性の土あるいは底土
ボカシが他の肥料と異なるのは、土を加えて薄めることにあります。もし土なしでボカシを作ると発酵の過程で大量の窒素を失います。堆肥を作る際にアンモニア臭を感じるでしょう。それは大量の窒素が空気中に逃げ出しているということです。
土はまた有機物(特に窒素)を植物の根のエリアに留まらせる役目もします。栄養保持能力が高く、肥料が安定し、栄養が長持ちします。土によって栄養の濃度が薄くなり根の肥料焼けの可能性を削減できます。また、土はボカシの発酵に重要な役目を果たす微生物の住処となります。
土:
栄養素を吸収し保管する。
悪臭を吸収する。
ボカシの栄養効果を維持する。
栄養の集中を防ぎ、根焼けの可能性を削減する。
微生物の住処となる
https://gyazo.com/5cd2bc7a3f990efa6c55a45b068a0b68
水
ボカシ作りでは、水分が50%程度になるようにします。混合物を手で握りつぶすとよく分かります。手の中で球になり、それが簡単に崩れるくらいがちょうど良く、水が出てくるようだと水分が多すぎます。もし粉々になり球にならないなら、水を追加します。
https://gyazo.com/ef6b78aef3c3fe69fcc4bc868fe8c3ce
空気
ボカシの発酵には空気が必要です。したがって、発酵させるボカシをカバーする際は通気性のあるワラや毛布を使います。ビニールなどを使うとボカシの温度が高くなりすぎて、微生物が死んでしまいます。
地域的な調整
ボカシはそれぞれの地域で手に入る材料で製造できます。主要栄養素の確保と増加に効果のある材料をいくつか列記しておきます。
窒素(N):魚粉、油かす、鶏糞、魚アミノ酸 (FAA)
リン(P):骨粉、米ぬか、鶏糞、水溶性リン酸カルシウム (WCaP)
カリウム(K):灰(病原菌を減少させる効果)、鶏糞、タバコの茎
ボカシの使い方
https://gyazo.com/3b01c8945419782ed67d9d7211827cfd
植物の根の近くにボカシを撒くことが最も効果的です。フルーツや野菜を畑に移植する際、植物が植えられる穴にボカシを撒くと良いです。ボカシの中の土は栄養素(特にリン)をしっかり保持しますので、植物の根の近くに撒かれないと栄養素が行き渡りません。根の近くに置かれても、ボカシは土によって薄められているので、根焼けを起こしません。根の近くに置かれたボカシは微生物、植物、土壌が影響を与え合う環境を作り出します。
フルーツや野菜にボカシを施す時のによく使われる割合をお教えします。もうすでに植えられた作物に施す場合、作物の列と列の間に施し、ゆっくり吸収されるようにします。通常、0.1ヘクタールに200kgを施します。
葉物やトマト: (1) もみ殻炭 1握り (2) ボカシ 1握り
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ピーマン、唐辛子、きゅうり、カボチャ:(1) もみ殻炭 1握り (2) ボカシ 1握り (3) 堆肥 1握り
https://gyazo.com/36b9e645f297c2b9c241cfb5ea44be43
なす、タロイモ、オクラ、ニンニク、生姜:(1) もみ殻炭 1握り (2) ボカシ 1握り (3) 堆肥 2握り
https://gyazo.com/2f7530febe51f50029ab9d07cef74ca0
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