CPGの発生
CPGの個体発生において自由度の凍結と解放が見られる
ラット
出生1日前:左右肢の交代性の運動が認められる
生後11日:四肢で体重を維持して歩行開始
胎仔の脊髄摘出標本(工藤典雄, 1991)
胎生15.5日:左右の同期したリズム活動が誘発
胎生17.5日:左右の交代性のリズム活動へ変化
抑制性のシナプスを遮断する薬物により交代性→同期へ戻った.これは抑制性介在ニューロンの機能分化がパターンの変化を引き起こす直接の要因であることを示唆.
ニワトリ
孵化していないニワトリの運動観察,筋電位の多点測定
胎生3.5日:自発運動を開始
胎生9日:拮抗筋の交代性のリズム活動が見られる
はじめ同期していたリズムがだんだん分かれて複雑になる(Bekoff, 1992)
https://gyazo.com/8d2092b270862aa038e9079c153cc78d
いずれも,単一のリズム→左右脚の交代性リズム→関節ごとに位相差を持つリズム,という発生過程らしい
動的自由度の解放によってだんだん複雑化するという説明が可能?
無脊椎動物でも多くのCPG研究
特にロブスターの胃や幽門の周期的運動を担うSTG(stomatogastric ganglion)という神経節の神経回路網はよく調べられている.
STGは胃と幽門の異なるリズムを制御する部分からなるが,発生初期では同期している
発生が進んでから異なるリズムへ分化する
ところが,初期の同期している神経節への上位神経からの入力を遮断すると,成熟した(分化した)パターンが現れた(le Feuvre+, 1999)
胎生初期のCPGが既に複雑なパターンを生成できるにも拘わらず,中枢の入力により自由度の凍結が起きている?
脊椎動物の観察結果と統一的に説明できないか?
脊髄標本が初期に複雑なパターンを出せないか調べないと?yosider.icon
#脳と身体の動的デザイン―運動・知覚の非線形力学と発達