COP14報告 :生物多様性条約第 14 回締約国会議(COP14) デジタル配列情報における議論の状況
会議名:生物多様性条約第 14 回締約国会議(COP14)/ 第 9 回カルタヘナ議定書締約国会合/名古屋議定書第3回締約国会合
会期:2018 年 11 月 17 日〜29 日,
場所:エシフト・シャルムエルシェイク
「遺伝資源のデジタル配列情報の問題は、第十四回締約国会議(COP14)と第三回締約国会議(COP-MOP3)で検討され、それぞれCOP決定14/20とCOP-MOP決定NP-3/ 12を採択した。
決定14/20では、2019~2020年の会期間におけるこのトピックに関するさらなる研究のために、遺伝資源のデジタル配列情報に関する科学および政策に基づくプロセスを確立した。このプロセスには、特別な技術専門家グループ(エーティーエー)による作業と同様に、見解と情報の提出、試験の委託とピアレビューが含まれる。」()
以下、COP14におけるデジタル配列情報(DSI)について現状を報告する
本資料はすべて公開情報を基に作成されてる。
【概要】デジタル配列情報のワーキンググループ(全体会議)にて、各国が意見を表明、
その後、コンタクトグループ(分科会)が開催され、ノンペーパー(会議用資料)が作成された。(2018/11/22)、議論が進んでいる。
ノンペーパー(会議用資料)は、下記からダウンロード可能 特にパラ11(C) パラ13に注意
【ワーキンググループにおける各国の意見】
途上国(アフリカ、マレーシアなど)の主張
・遺伝資源の利用から生じたあらゆる情報としてDSIは、生物多様性条約や名古屋議定書の適用範囲であり、利益配分の義務がある
・ポスト2020枠組みは、DSIのABSシステム作成を目標としなければいけない
・データーベースのトレーサビリティーの調査が必要である
・Working Groupを設立して、その課題解決を検討するべき
先進国(EU、日本、韓国、ニュージーランドなど)の主張
・ABSの対象は有形の遺伝資源のみを指す、今後の作業を行う前にDSIの定義と範囲に同意する必要がある
・パブリック・アクセス・データベースとオープン・アクセス・データベースは、利益を共有する重要な形態
・DSIへのアクセスと利用は、科学的研究、生物多様性の保全と持続可能な利用にとって重要と主張
その他
非営利の簡単なアクセスを主張
WHOは、病原体に関連するDSIを世界の公衆衛生上の利益として強調し、迅速なアクセスを求めた
【考察】
これまでの話し合いと同様に、途上国側は遺伝資源のDS利用から出た利益の原産国や地域への直接的な利益配分をもとめ、デジタル配列情報のデーターベースの商業用利用を明確にするために、トレーサビリティーを求めている。新しい意見としては、愛知目標の次の目標である、ポスト2020枠組みにDSIのABSシステムの作成を加えることを主張している、これにより、DSIを利益配分の対象とする作業を公式に認めようとしている。また、非営利の目的の簡素なアクセス方法を主張する途上国もあるが、現在、データーベースの商業利用の明確化として課金制度、トレーサービリティーをセットで要求される可能性があるので注意。
以上