Netflixの事業(2013)
https://blogs.itmedia.co.jp/serial/2014/06/5netflix1---d0fa.html
月額7.99ドルで映画などのコンテンツが見放題のサービス
売上向上、利益率改善のカギになるのは顧客のつなぎとめである
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【目的その1】
月額7.99ドルを払い続けてくれる既存顧客をつなぎ止めたい。
【戦略方向性を決める為のリサーチ】
月額会費を支払って何も見てくれない顧客が多くいれば、
コンテンツライセンスや配信インフラに払うコストも低くて済む
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しかし、データ分析から、毎月の視聴時間が一定水準を下回れば解約率が格段に増えるという事実をつかむ
1人ひとりの会員の月当たり視聴時間数をできるだけ増やすことが必須と考える
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ユーザーの視聴時間を増やすには、アマゾンなどでおなじみのレコメンデーションが有効であるという事実をつかみ、
レコメンデーションの精度を上げることにフォーカス。
その精度を上げるためのデータの収集、分析、仮説の立案と検証に日々取り組む
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★施策1 / ユーザーの視聴行動傾向を掴む
【やったこと】
仮説(同じクラスターの顧客は、同じような映画・ドラマが好きだろう)を立て、下記のデータを取得分析
4,400万会員による総視聴時間は1ヶ月に10億時間。
ーWhen you pause, rewind, or fast forward(いつポーズ、巻き戻し、早送りをしたか)
ーWhat day you watch content (何曜日にコンテンツを楽しんでいるか)
ーThe date you watch(日付)
ーWhat time you watch content(視聴し始めた時間、終わった時間)
ーWhere you watch (どこで見ているか、郵便番号やIPアドレスから)
ーWhat device you use to watch (どのデバイスで見ているか、TVからゲーム端末、スマホまで対応端末は100種類にわたる。
また子ども用コンテンツはiPadで見ているといったコンテキストも大事)
ーWhen you pause and leave content (特定のコンテンツのどこでポーズをかけたか、視聴に戻ってきたか)
ーThe ratings given (視聴後に顧客が付ける星1つ〜5つまでのレーティング、1日40億星とのこと)
ーSearches (顧客がサイト上で行うコンテンツ検索の内容。1日30億件)
ーBrowsing and scrolling behavior(サイトのページのブラウジング状況、スクローリング状況)
【できたこと】
数万~数十万と見られるユーザークラスターと行動を把握した
例「ボストン在住30代半ば女性会員Aは自宅のApple TVで平日に女性主人公のラブロマンスドラマを見るが、金曜夜にはジョニー・デップの出演作を順繰りに見ている」
例「サンノゼ在住40代男性会員Bは自動車通勤している車上のスマホで、渋滞がひどい時には(スマホの移動速度が遅い)政界ドラマを流しっぱなしにする」
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★施策2 / レコメンデーションの精度を上げる
【やったこと】
保持している全てのコンテンツに対して、下記プロセスにて、有用なジャンル分けを施す
ー映画通・ドラマ通の外部スタッフを数十名雇い、36ページのマニュアルを作成して、タグ付け作業を標準化
ースタッフに中身を見てもらって個別作品にタギングを施す
ー1つの作品に付けられた複数のタグを、機械処理しやすいように、かつ、人が読んでも意味が通るように、「有意な文法性を持ったジャンル名」として生成
ー10万〜20万作品と見られるすべての映画・ドラマコンテンツを7万数千件のマイクロジャンルに分類
【できたこと】
7万数千ものジャンルを作り、数万~数十万と見られるユーザークラスターに適切なレコメを行えるようになった
✖️「クラスターXは、映画『ミリオンダラー・ホテル』を好んで見る」
⭕️「クラスターXはジャンルYを好んでよく見る」
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【結果】
レコメンデーションが精度を増して、満足度が向上、ユーザーの視聴時間を増やすことに成功
月額7.99ドルを払い続けてくれる既存顧客4,400万名をつなぎ止めた
(毎月10億時間以上の総視聴時間のうち、75%はレコメンデーション由来のもの)
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【目的その2】
新しい顧客をどう増やすか?
【戦略方向性分析】
売上46億ドルに対して、毎年のコンテンツ調達に20億ドルを投じている。
仮説(映画の新作・旧作だけに年間20億ドルを投じるよりも、一部は、オリジナルのドラマシリーズ制作に投じた方がよいのではないか)
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★施策 / 確実に当たるオリジナルのドラマシリーズ制作に取り組む
▪️やったこと
Netflixはデータから以下のことが分かっていた
1. 多くのUserがDavid Fincher監督の”Social Network”を最後まで鑑賞
2. イギリス版の”House of Cards”も人気あり
3. イギリス版”House of Cards”を視聴するUserはKevin Spacy主演の映画を好んで観る
⇒ パイロットが作られる前に、政界物ドラマという基本線、
主役ケビン・スペイシー、監督デビッド・フィンチャーと 企画概案が決まった段階で、約20億円の制作費を出しこの作品制作を決定
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【結果】
「House of Cards」大当たりしました。
60万名以上の新規会員を獲得
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