自己搾取
【定義】
自己搾取(Self-Exploitation)とは、本来自分が守るべき労働や生活の限度を、自ら破って過剰に働いたり、自分の犠牲の上に成果を追求したりする状態。
【特徴】
「やらされている」感より「やらねばならない」感が強い
外的な搾取者が不在でも、自分自身の内面(責任感・承認欲求・不安など)が駆動源
本人が状況を正当化しやすく、搾取されている自覚が薄い
【原因となる動機】
成果主義・自己実現信仰(成功のためには犠牲が当然)
「好きなことを仕事に」型の内面化された義務感
SNSや周囲との比較による自己肯定感の低下
「頑張っていないと不安」という慢性的な緊張状態
【よくある例】
フリーランスやクリエイターが休日返上で無報酬で活動し続ける
起業家やマネージャーが責任感から休まず働き続ける
SNS運用で「共感を得るため」に常に投稿を考え、心が休まらない
【構造的視点】
資本主義的労働倫理が内面化され、外部からの監視がなくても自己を管理・統制する仕組みとして機能
社会制度としての「搾取」と違い、形式的には自由な選択として表れるため、問題が可視化されにくい
【対処法の方向性】
自分のリソース(時間・労力・感情)の棚卸しと線引き
成果と自己価値を切り離す思考訓練
短期成果主義からの距離をとる長期視点の導入
外部からのフィードバックではなく内的充足による評価軸の再設定