時機に遅れた攻撃防御方法
人脈関係登録システム事件
知財高裁 平成29(ネ)10072 平成30年1月25日判決
控訴審で追加した均等侵害の主張が時機に遅れた攻撃防御方法として却下された事案
「原審における争点整理の経過に鑑みれば,「送信したとき」に関するクレーム解釈や被控訴人サーバの内部処理の態様如何によって構成要件充足,非充足の結論が変わり得ることは,控訴人としても当初から当然予想できたというべきであり,そうである以上,控訴人は,原審の争点整理段階で予備的にでも均等侵害の主張をするかどうか検討し,必要に応じてその主張を行うことは十分可能であったといえる(特許権侵害訴訟において計画審理が実施されている実情を踏まえれば,そのように考えるのが相当であるし,少なくとも控訴人についてその主張の妨げとなるような客観的事情があったとは認められない。)。 ところが,控訴人は,原審の争点整理段階でその主張をせず,また,第4回弁論準備手続期日(平成29年2月14日)において乙25陳述書が提出された後も,その内容について特に反論することなく,第5回弁論準備手続期日(同年3月23日)において「侵害論については他に主張・立証なし」と陳述し, そのまま争点整理手続を終了させたものである。 しかるところ,控訴人が,上記のとおり当審に至り均等侵害の主張を追加することは,たとえ第1回口頭弁論期日前であっても,時機に後れていることは明らかであるし,そのことに関し控訴人に故意又は重大な過失が認められることも明らかといえる。 また,予備的にせよ,均等侵害の主張がされれば,均等の各要件についてそれぞれ主張と反論を整理する必要が生じるのであるから,訴訟の完結を遅延させることとなることも明らかである。」(判決文15〜16頁)