内容証明サイト装置事件
知財高裁 平成25(ネ)10030 平成25年08月22日判決
特許権 損害賠償請求控訴事件
「ア 控訴人は,本件手続補正書の「3-1)」及び「3-2)」は,伝達情報の内
容の同一性を確認できるデータ,すなわち,原本性を証明するための署名に裏付け
された伝達情報の照合値(ダイジェスト)についての記述であって,原本性を証明
してもらうためのデータを,原本性を証明する処理のために受け取ることを否定す
る陳述ではないから,ダイジェスト照合によって実現しているサービスに,原本性
を証明してもらうためのデータを受け取り保管することを加えることをもって,構
成要件6及び7の充足性を否定する根拠とはならない旨主張する。
しかしながら,前記及びのとおり,控訴人は,本件特許の拒絶査定不服審判
において,本件発明は,「伝達情報」等を発信者装置A及び受信者装置Bから内容証
明サイト装置Cに送信せず,「伝達情報」を内容証明サイト装置Cが保管しないこと
によって,引用文献等記載の発明と異なり,通信量(情報量)が多くならず,多く
の情報量を保管する構成でもなく,公証人等による伝達情報への不正関与の可能性
を高くしないという効果を奏すると陳述し,本件発明は,控訴人のかかる陳述を踏
まえた上で,特許査定がされたものであるから,本件発明の構成要件6及び7の意
義は,契約当事者双方が契約書の「原本」を管理し,内容証明サイト装置は原本が
改ざんされていないことを伝達情報のダイジェスト又は伝達情報を暗号化した暗号
情報のダイジェストのみに基づいて検証することで証明するサービスであると解す
るのが相当である。したがって,原本性を証明するためのデータではなく,原本性
を証明してもらうためのデータであれば,「伝達情報」を受け取り保管することもで
きるとする控訴人の主張は採用することができない。」