フランク三浦事件
パロディ商標の類否
知財高裁 平成27年(行ケ)第10219号 平成28年4月12日判決
審決取消請求事件
https://gyazo.com/e17ce41afa48b5bec43bd0e6c52440b8
「フランク三浦」の商標登録第5517482号を無効とした審決に対し、その取り消しを求めた審決取消請求事件である。
https://gyazo.com/adde6c8001011031d73e71e6afc744c8
原告は、商標登録第5517482号の商標権者。
被告は、本件商標の商標登録の無効審判を請求した(無効2015-890035号事件)。
特許庁は、登録を無効とする審決した。
審決の概要 商標法4条1項11号該当性について
本件商標からは「フランクミウラ」の称呼が生じるとともに,取引の実情を鑑みれば,需要者が一見した際に,被告商品並びに引用商標及び被告使用商標を想起することを意図し、本件商標からは,著名ブランドとしての「フランク ミュラー」を想起させる場合がある。
引用商標1,引用商標2は,「フランクミュラー」の称呼を生じ,・・著名ブランドとしての「フランク ミュラー」の観念を生じる。
引用商標3は、「フランクミュラーレボリューション」の称呼を生じるほか,・・ 「フランクミュラー」をも生じ,著名ブランドとしての「フランク ミュラ ー」の観念を生じる。
本件商標と 引用商標とを全体的に観察すれば,外観上区別し得る。しかし,本件商標と引用商標の称呼は,それぞれ一連に称呼するときには,全体の語調,語感が近似し,相紛らわしい類似の商標である。
さらに,本件商標は,著名ブランドとしての「フランク ミュラー」の観念を想起させる場合がある ことから,著名ブランドとしての「フランク ミュラー」の観念を生じる引用商標とは,観念上類似する。
以上によれば,本件商標は,商標法4 条1項11号に該当する。
原告は,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
裁判所の判断4条1項11号について
「本件商標は手書き風の片仮名及び漢字を組み合わせた構成から 成るのに対し,引用商標1は片仮名のみの構成から成るものであるか ら,本件商標と引用商標1は,その外観において明確に区別し得る。
さらに,本件商標からは,「フランク三浦」との名ないしは名称を用いる日本人ないしは日本と関係を有する人物との観念が生じるのに対し,引用商標1からは,外国の高級ブランドである被告商品の観念が生じるから,両者は観念において大きく相違する。
そして,本件商標及び引用商標1の指定商品において,専ら商標の称呼のみによって商標を識別し,商品の出所が判別される実情があることを認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,本件商標と引用商標1は,称呼においては類似するものの,外観において明確に区別し得るものであり,観念においても大きく異なるものである上に,本件商標及び引用商標1の指定商品におい て,商標の称呼のみで出所が識別されるような実情も認められず,称呼による識別性が,外観及び観念による識別性を上回るともいえないから,本件商標及び引用商標1が同一又は類似の商品に使用されたとしても,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない。
そうすると,本件商標は引用商標1に類似するものということはできない。」
「また,本件商標と引用商標1が類似しない以上,本件商標の商標法4条1項11号該当性を判断するに当たり,本件商標が引用商標1の模倣であるかどうかを問題とする必要はないし,本件商標の商標登録出願に当たり,原告において引用商標1を模倣する意図があったとしても,そのことが直ちに商標の類否の判断に影響を及ぼすものでもない。 」