展示作品紹介(江崎未来)
テーマ:「土に還る衣類たち」
私が仮にどこかの森で倒れて死んでしまったとしたら。
そのときに、一体どんな服を着ているだろう。
身体と一緒に身につけているものも自然分解されて、また新しい命になれたら。それは素敵なことだと、数年前に思いました。
心の中に思い描いたイメージを、その時に着ていたい服を、今回の展示で表現します。
素材を辿れるものづくりを求めて
編み物を始めた時から、羊毛が好きでした。
触っていると手がぽかぽかして、包まれているような優しい手触り。
そんな毛糸である日編み物をしているときに、ふと「この羊毛はどこから来たのだろう?」と疑問に思い、羊毛や羊について調べるようになりました。
羊毛として使われている羊にも沢山の品種がいること、それぞれの品種の手触りの違いや、個体や体調によっても風合いが変わっていくこと… 気づけば羊毛の奥深さにどんどん惹かれていました。
一方で、市販の毛糸は、牧場や羊まで辿れるものは海外の一部のメーカー等のみで、「この毛糸はどこから来たのだろう」という疑問を解消してくれるものはそう多くありません。
この羊毛をくれた羊は、どこでどんな環境で育ち、今も生きているのかもしくはどんな風に死んだのだろう。
そうやってに毛糸を見ていくうちに、「どの牧場や羊のものかわかる羊毛でものづくりがしたい」と考えるようになりました。
そんな羊毛への想いをきっかけに、「できるだけどこから来たのか分かる素材でものづくりをする」ことを大切にしています。
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今年は3つの牧場に実際に足を運び、牧場主さんに羊のお話を伺い、実際に触れ合った羊たちの羊毛を頂いてきました。
それらの羊毛を自分で洗い、毛に絡まった藁を取り、糸を紡ぎ、編んだり織ったり。時にはフェルトにしたり。
羊を育てている牧場の方や、羊毛をくれた羊たちのことを知って、たまに思いを馳せながら、つくって、そして使いたい。
自分が使っているものを通して作り手や素材との繋がりを感じられることは、ただ「モノ」としてそれを使うよりも温かく、楽しいことだと私は思います。
そんな気持ちから生まれた作品を、ぜひ実際に見て触って感じていただけたら嬉しいです。
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