卒制のテーマ(題目)を作文する時のヒント(基本構文)*川合memo
情報デザイン学科 ビジュアルコミュニケーションデザインコースの学究組織で、
その専門分野を学ぶみなさんが、自身の卒業制作を言語化するときの参考になれば、と、メモしておきます。
情報デザイン学科は、広告やクライアントワークをモデルとしたワークフローの視覚伝達のデザイン(グラフィック、映像、WEBなど)だけでなく、メディア&テックを活用した多様なクリエイションやコンテンツ(映像作品、ゲーム、メディアコンテンツ、アートワーク、アプリ、玩具、グッズなど)開発やその企画提案、あるいは個人のライフスタイルから、企業ならびに社会課題に関する考察までをも視野に入れた、幅広いデザイン敎育が特徴の一つです。
デザイン系卒業研究・制作におけるテーマ(題目)の決め方
「5W1H」とか「6W1H」という解説法がありますね。それに沿わせると、簡潔に伝えやすい。
テキスト構造
①序(目的、対象、状況・場所・領域、着眼点・具体的題材)
※①の4項目は、題目に限っては全て揃えられている必要はない。(企画書や作品解説においては全て必要)
目的(What)
◯◯のための
◯◯を目的とした
対象、ターゲット(Whom)
◯◯のための
◯◯を対象とした
状況・場所・領域(Where、When)
◯◯における
◯◯(場所)の
着眼点・具体的題材 ☜卒制個々の特性が出やすいパート
◯◯に着目した
例)日本の伝統色
例)心象風景(の再現)
例)帯化に着想を得た
◯◯の手法を用いた
②中(つくるもの・こと、おこない)(How)
〇〇の
プログラムの
手法の
映像コンテンツの
ゲームコンテンツの
サービスの
グッズの
③結(=出力の形式)(How)
プランニング系
企画
設計
提案
制作系
視覚化
可視化
開発
制作
再現
リサーチ系
研究
リサーチ
調査・分析
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【参考】
「卒論」「題目」、またその「書き方」等のワードで検索し、大学生一般の「卒業論文」のテーマについて、
また、デザイン学科や学部の「卒業制作」の題目(テーマ)を調べてみましょう。
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|過去の情D卒制作品をモデルとしたテーマ文例|
A 日本の伝統的視覚文化〈和柄〉を現代に再生するグラフィックの設計と提案 (34字)
B 「アメリカンドッグ」を題材とした創造的リサーチとインスタレーション制作 (35字)
C 生活上の疑問をユーザー間の〝教え合う〟コミュニケーションによって解決するサービスアプリの企画(46字)
D イラストレーションによるオリジナルキャラクターと空想世界の設計およびコンテンツ展開 (41字)
E 顔料の粉末を使用し平面造形する実験的技法によるグラフィックの制作 (32字)
F 幼児の「野菜ぎらい」の問題改善を目的とした教材的アプリの企画提案 (32字)
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デザイン系卒業制作におけるテーマ(題目)の決め方(本学科だけでなくおそらく美芸大のデザイン系学科において一般的な考え方)
「5W1H」の思考法に沿わせると的確に文章化しやすい。
テキスト構造 (①→②→③の順を基本とすると考えやすい)
①序(目的、対象、状況・場所・領域、着眼点・具体的題材)
(1)目的 (What)
「◯◯のための…」
「◯◯を目的とした…」
など
例文C→「生活上の疑問を・・・解決する」
例文F→「問題改善を目的とした」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)対象、ターゲット (Whom)
「◯◯のための…」
「◯◯を対象とした…」
など
例文F→「「野菜ぎらい」の幼児を対象に」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)状況・場所・領域 (Where、When)
「◯◯における…」
「◯◯(場所)の…」
など
例文A→「日本の」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)着眼点・具体的題材 ☜卒制個々の特性が出やすいパート
「◯◯に着目した…」
「◯◯の手法を用いた…」
など
例文A→「伝統的視覚文化〈和柄〉を」
例文B→「『アメリカンドッグ』を題材とした」
例文C→「ユーザー間の〝教え合う〟コミュニケーションによって」
例文D→「イラストレーションによる」
例文E→「顔料の粉末を使用し平面造形する実験的技法による」
※ 注意:テーマの作文において、(1)から(4)のすべてが含まれている必要はない。各制作による。
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②中(つくるもの・こと、おこない) (How)
「〇〇の…」
「プログラムの…」
「手法の…」
「アプリの」
「映像コンテンツの…」
「ゲームコンテンツの…」
「サービスの…」
「グッズの…」
「プロジェクトの…」
「インスタレーションの…」
など
例文A→「グラフィックの」
例文B→「創造的リサーチとインスタレーション(の)」
例文C→「サービスアプリの」
例文D→「オリジナルキャラクターと空想世界の」「コンテンツ(の)」
例文E→「グラフィックの」
例文F→「教材的アプリの」
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③結(=出力の形式)(How)
・プランニング系
「…の企画」
「…の設計」
「…の提案」
「…するプロジェクト型実践」
など
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・制作系
「…の視覚化」
「…の可視化」
「…の開発」
「…の制作」
「…の展開」
「…の再現」「…の復元」
など
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・リサーチ系 ※ 言語による論述が主となるタイプの研究・制作のケースに適している。
「…の研究」
「…のリサーチ」
「…の調査・分析」
など
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例文A→「の設計と提案」
例文B→「(の)制作」
例文C→「の企画」
例文D→「の設計および・・・展開」
例文E→「の制作」
例文F→「の企画提案」
※注意:①→②→③の順で考えるとよいが、最終的に①②③の順は入れ替わっていたとしても、整っていれば問題ない。
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また、以下についても、卒制を仕上げ、ロジックをまとめあげる上で、今一度確認しておいてください。
下記の構造で、みなさんは専門分野を学んできました。
京都芸術大学>情報デザイン学科>ビジュアルコミュニケーションデザインコース
中後半からは、さらに「3つのフィールド」という軸設定でコミュニケーションデザインを考究してきたということです。
「情報」「デザイン」「ビジュアル」「コミュニケーション」の意味や、「情報デザイン」「ビジュアルコミュニケーション」「コミュニケーションデザイン」「ビジュアルコミュニケーションデザイン」といった、各概念・ワードの組み合わせが示す内容を調べ、考える。「3つのフィールドの考え方」をあらためて読み直すのもよいでしょう。
それらを、自身の取り組んでいる取り組みの全体像と重ね合わせながら、的確な言語、またその組み合わせを探り、「テーマ」「解説文」を考えてください。
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