エンジニアリング内製化をするという覚悟とタイミング
辞書的・教科書的なページではなく 1natsu.icon のポエムページ。 ___________________
経営の観点で覚悟がなぜ必要かという話
ひとことで言うと「人もシステムも面倒を見続けられますか?」に尽きる
あるいは「システムが壊れたり機能改修ができなくなっても"仕方ないね"で全てを飲みこめますか?」に尽きる
現代のシステムは「作っておしまい」ではない
何もしていないからこそ壊れる時代
https://ricapitolare.vercel.app/svg?url=https://speakerdeck.com/twada/building-automated-test-culture-2022-autumn-edition#.svg https://speakerdeck.com/twada/building-automated-test-culture-2022-autumn-edition
クラウドインフラ依存やSDK依存、セキュリティ対応など作るにあたり「完成したタイミングでフリーズして何年もそのまま使う」は事実上不可能に
内製化するためにはエンジニアリングとプロダクト開発のプロを雇わねばならない
業務委託オンリーで開発をドライブさせるのはかなり困難なので一定は正社員を雇用する必要があるケースが多い
日本では雇用に発生する企業の責任がアメリカなど諸外国よりも強い
ビジネスドメインによってはシステムがお客様の事業の一部を抱えたり、生活の一部を抱えたり、センシティブなデータを預かったりする
なにもせず自動で金を稼いでくれるシステムはなく、運用が発生し責任も発生する
システムに人を一定張り続ける必要がある
「システムが壊れたのでn日止まりました。壊れていることにn日気づいていませんでした。」では企業の信用問題に関わる
運用フェーズから外に出してもうまく運用できない
(作った人ではないし作る側ではないので)「なんで壊れているのかわかりません」になる
「(キャッチアップするところから含め)調べますね」から入るため深刻なケースのときに復旧までのオーバーヘッドが大きい
競合他者との差別化や顧客要望対応もリリース後に終わりなく発生する
機能の追加や改修や変更が発生する
発生しなくなるときは(ほとんどの場合)ビジネスの終わりか、経営観点で何かしらの諦めがついたとき
内製するという概念は『社内で作り、面倒を見続ける』なので、システムに対して人を雇い続ける必要がある
これからビジネスを立てるという場合
PoCを作りPMFの検証から入るパターンが多い
内製のシステムを用いてこれからビジネスを立てるということは不確実性が高く投機的である可能性がある
作る側も作らせる側も、相当な覚悟が必要となる
内製化した先にある組織課題
社内の人として不確実性と戦うエンジニアやデザイナーやPdMを抱えることになるため、人の問題が発生する
ビジネスドメインにもよるところはあるものの丁寧に文化づくりをしないと組織内で部署やロールに対して壁ができあがる
一番わかりやすいのは「エンジニア"さん"」「デザイナー"さん"」というワード
同じビジネスに関わる内側の人間であるはずなのになのに、距離の壁が呼称に現れる
壁があると何が問題か
コミュニケーションの分断、腹を割って話せないことによる空気の悪さ、生産性の低下、責任の押し付け合いなどが発生する要因になってしまう
評価方法と評価軸と給与レンジの職務別の個別化が必要になる
クリエイティブ職とノンクリエイティブ職で評価制度や給与レンジを分離するケースを事例として見受けることが多い
あるいはクリエイティブ職を囲うために分社化する事例もある
しかし分社化すると箱自体が分かれるため、コミュニケーションや関係性の壁はできやすくなりビジネスに対して全員で向き合うための努力が増える可能性が高くなる
エンジニアやデザイナーといったクリエイティブ職は不確実性と向き合う職種であるため、定量ベースで成果を測りきることが難しい そのため社内で単一の評価制度や給与レンジを用いるとフラストレーションの原因や生産性の低下や採用活動の困難につながる
TODOが明確な工場のラインで働く人・足で稼ぐ営業の人・デスクで不確実性と戦い問題解決をするエンジニアを全員同じ評価方法や軸やレンジで測ろうとするとおかしなことになるのは明白
つまりコミュニケーションや関係性の面では壁をなくしフラットにしつつ、制度の面では個別に最適化をするという難しい課題と向き合い続ける必要が発生する
平等扱いでも特別扱いでもなく、正しく人を扱う組織組成ができるかという手強い経営課題になる
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内製化タイミング判断パターン
すでに「システムで解決したい物事がなになのか」が手に取るようにわかっていますか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
まずは目的や課題や問題を掘り下げボトルネックを突き止めることをおすすめします
固定費を増やしても経営上問題がないですか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化にはまだ早いか、ビジネスドメイン上そもそも内製化が向いていない可能性があります
内製化しないと事業がそもそもスタートできないですか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化は早すぎる可能性があります
わからない
マーケットの不確実性・技術の不確実性を洗い出して、内製化をせず小さく始められる方法の検討をおすすめします
内製化しないと事業の存続ができないですか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
課題から内製化の検討に至った経緯の振り返りと再考をおすすめします
内製化することのコストやリスクを経営観点で理解できていますか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化におけるコストやリスクの理解を深めることをおすすめします
(ビジネスがすでに立っている場合)システムを除いたビジネス上のボトルネックの解消・最適化は済んでいますか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化はまだ早すぎる可能性があります
ビジネス上の課題や今後の目的や戦略は明確になっていますか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化の方向が課題の解決や目的の達成ではない可能性があります
ビジネス上の課題や今後の目的や戦略を明確にすることをおすすめします
ビジネス上の課題や今後の目的や戦略は内製しないと達成できないですか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化のタイミングではない可能性があります
わからない
外注しない・できない理由はなにですか?
手段や今後の状態のイメージが迷子になっている可能性があるため根本的な再考をおすすめします
内製化したあとに発生する組織課題と向き合う余裕や体力はありますか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
内製化は早すぎる可能性があります
覚悟ができていますか?
はい
内製化の検討を進めていいかもしれません
いいえ
覚悟を持てない理由を深堀りすることをおすすめします