経営リーダーのための社会システム論
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ビジネスは社会からライセンスをもらってオペレートする、依存関係にある。だから、経営と社会システムの両軸から論じることが必要
生活世界とシステム世界
地獄への道は善意で舗装されている
孤独は1日15本のタバコと同じくらい健康に害があり、イギリス全体で4兆5000億円もの経済損失を生み出している
共同体には必ず維持コストがかかります。メンバーの間で時間と手間をかけて合意形成をしなくてはなりませんし、互いのまなざしを意識せずには生きられないという不自由を受け入れなくてはなりません。共同体からいいものだけを引き出し、コストをかけないという「いいとこ取り」はできません。つまり、「絆には絆コストがかかる」のです。
人は、絶対的な不満というより、何かを比較の対象とした不満、「過去よりもひどい」とか「周りよりも状態が悪い」といった不満を感じやすい。これが相対的剝奪感です。加えて人は、わかりやすい異物や、昔はなかったような対象を指して、「悪いのはこいつらだ」と決めつけがちです。これが外部帰属化です。
団塊世代が勤めた企業は、終身雇用が当たり前な中で共同体的な役割を果たしていた。故に、定年を迎えるとそのアイデンティティを失い、孤独になる傾向にある
アートと娯楽は違い、社会に適応しきった人間はアートを必要としません。社会を生きることに違和感を抱く人間が、アートを通じて社会の外の視座を獲得しようとするのです。
伝統的な対立概念としてコミュニティ(共同体)とアソシエーション(組織集団)があります。コミュニティは、全人格にかかわる「全人格性」と、そこに生まれ落ちるものでメンバーになることを選べない「非人為性」が特徴です。アソシエーションは、人格の一部だけでかかわる「部分人格性」と、自覚的に選んでメンバーになる「人為性」が特徴です。だからコミュニティは生活世界に重なり、アソシエーションはシステム世界に重なります。
勉強や仕事に追われて忙しい日々、女性と交際するとお金がかかるしトラブルも起きる。ささいな痴話ゲンカで関係が崩壊したりするからリスクマネジメントも大変。ならば、アダルト映像やアダルトゲームで、システム世界から便益をいいとこ取りしたい。そんなふうに損得勘定で性愛をとらえる男性――僕の言い方では「損得化したクズ」――が、増えました。
回答者を育んできた文化、つまり共同体的プログラムの違いが、対象の違いによる壁の高さの違いをもたらすとします。つまり、倫理の基盤は、ゲノムだけでなく、それと矛盾しない限りで、一部は文化に由来するというのが、サンデルの解釈なのです