口の立つやつが勝つってことでいいのか
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愛するものについてうまく語れない──これは私にとって、スタンダールその人について実感されることである。
メラネシアでは、ひとは眠っているあいだに遠い村で盗みを働いたという非難を甘んじて受け、身の潔白を証明するアリバイをもち出したりせずに罪に服する。
もやもやした複雑な感情や感覚が、言葉にできただけのものに置き換わってしまうのだ。だから、ありきたりな表現をしてしまうと、自分の過去までありきたりになってしまう。そうならないよう、どう表現するかじっくり時間をかけて悩んでほしい。安易に書いてしまうのがいちばんよくない。自分の体験を大切にしてほしい。
能力は美しいし、人を惹きつける。それはたしかだ。 しかし、綺麗事ではなく、実際に、人は人を能力だけで評価しているわけではない。それもまた、たしかだと思うのだ。
人は「自分だったら、決してこういうことはしない」ということを他人がしていると、とても腹が立つ。 そのとき、「相手には特別な事情があるかも」ということに、なかなか思いがいたらない。
ヴォネガットは来日して、日本の作家の大江健三郎と対談したときに、「人間として何が最も重要と思うか?」と問われて、「Decency(ディーセンシー)」と答えている。
あなたがたがもし諍いを起こしたときは、おたがいにこういってほしい。「どうか──愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに」
ブルースは絶望を家の外に追い出すことはできないが、演奏すれば、その部屋の隅に追いやることはできる。
大きな助けとなってくれるのが、文学だ。人は誰でも物語を生きている。世界がゆらぐということは、これまでの物語では生きていけなくなったということだ。新しい物語が必要なのだ。それを作らなければならない。そのためには、まずは他の物語を読むことだ。そうすることで、自分の物語を書き直せるようになる。他の子どもが遊んでいるのを見て、自分も遊びを考え出せるようになるように。