マイケル・ポーターの競争戦略
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「戦略の本質は、何をやらないかを選択することだ」
競争の本質は、競合他社を打ち負かすことではなく、価値を創造することにある。
競争の収斂「競争の本質は、競合他社を打ち負かすことではなく、価値を創造することにある。」
最高を目指して競争する企業は、模倣を通して成長する。独自性を目指して競争する企業は、イノベーションを糧にして繁栄する。
たとえばかつては「搬入搬出」に関する就業規則によって、発着する飛行機に空港のゲートから手を振って合図をするのは、賃金の低い手荷物係やほかの地上勤務員でもできるのに、特別の訓練を受けた整備士だけときめられていた。修理は主に夜間に行なわれるが、この規則のせいで整備士は二四時間体制でシフトを組み、航空会社は保守・修理に必要な数を大幅に上回る整備士を雇わざるを得なかった。いまでは廃止されたこの規則は、高賃金の整備士にとっては事実上の雇用創出プログラムであり、航空会社にとっては利益流出の一因だった。
ポーターのいう戦略は、事業における「競争戦略」を指すときまっている。戦略の主体は企業全体ではなく、事業部門なのだ。これに対して企業戦略とは、複数の事業を有する多角経営企業のビジネスの進め方をいう。
価値提案の選択を通して企業の行動に制約を課すことが、戦略には欠かせない。制約を課すことで、特定の価値を最もうまく実現できるように活動を調整する機会が生まれるからだ。
ポーターはマクドナルドがやろうとしたことを、「二股をかける(ストラドリング)」と呼ぶ。これは企業間競争で最も一般的な形態の模倣だ。こうした企業は、二股という言葉の示すとおり、既存のポジションを維持しながら、成功したポジションのよいところをとり入れようとする。いいかえれば、新しい機能やサービス、技術を、すでに行なっている活動に移植することで、二つの世界のいいところどりをしてすべてを手に入れようとする。だが戦略とは二者択一の世界だ。二股をかける企業は、二者共存の世界に逃げこめると思っているが、その期待はたいてい空頼みに終わる。
「戦略とは競争においてトレードオフを行なうことである。戦略の本質とは、何をやらないかを選択することだ」
アウトソーシングするという当初の決定は、短期的にはほぼ必ずコスト削減をもたらす。だがコストや競争の収斂への長期的な影響が懸念される。アウトソーシングは、戦略において独自性や適合性を追求する機会を狭めるだけでなく、業界全体の同質化に拍車をかける。
優れた戦略の5つの条件
独自の価値提案
特別に調整されたバリューチェーン
競合企業とは異なるトレードオフ
バリューチェーン全体にわたる適合性
長期的な継続性
人にたとえていうと、自分がどんな人間で、何を代表しているのかを知る人は変化を受け入れやすいが、そうでない人はなかなか変われないのと同じだ。新しいニーズが生まれるたびに対応しなくてはと焦り、新技術が現れるたびにとり入れなくてはとうろたえているようでは、組織から活力が失われてしまう。