リーダーの役割
#マネジメント
あくまで個人の経験に基づく定義であり、プロジェクトによって定義が異なる。
個人的に関連性の強いゲーム開発におけるリードアーティストについて考えてみる。(ボイスメモ中心)
リードアーティストの役割
チーム内のアーティストを守り、チーム内外のパフォーマンスを最大化する役割。
役割の「守る」とは?
アーティストに対して、適切な休憩と余裕を与え、成果を高めること。
アーティストの心を守る(やりがい、心労、不安)
アーティストの技を守る(スキルアップ、チャレンジ)
アーティストの体を守る(健康、労働環境)
アーティストのアイデアを守る(横槍、批判)
★守るために必要なこと
具体的には予算、スケジュール、心理的安全性だと考える。
★予算
まず、予算は開発における最も重要な資源となる。
ここが不足していると必然的に厳しい戦いが強いられる。
少ない予算でやりくりする事に多くのパワーを使ってしまうし、余裕のなさから稼働が増えたり、
他への関心が薄くなってしまう。結果的に品質低下やクリエイティブな活動が減ってしまう。
リードアーティストは、いかに予算を確保するかというのがプロジェクト前半のミッションになる。
予算を確保するときにプロジェクトの状況 は大きく二つある。
すでに使える予算が決まっていて、その予算内でやりくりする必要がある場合。
もう一つは 必要な予算を待つで計上する場合。
前者の場合は 工数を削りすぎないようにするという注意が必要だ。
必要なプロセスを短縮したり、過度に削減できるであろうという期待感を取り込んだりするのに注意が必要
後者の場合 こちらは逆に低く 工数を抑えようとする意識は不要だ。
余裕を持った工数計上し 妥当性の判断は プロデューサーディレクターに任せる。
リードが 下手な気を使う必要はない ここで変にコースを低く見積もってしまうと後々自分たちの首を絞めることになる
どちらの場合に対しても言えることとして、しばらく時間を共にした スタッフが稼働するのか、
外注のように 新しくチームを編成するスタッフとなるのか、そこに注意する必要がある。
後者の場合 工数を感覚より多く設定する必要がある
★スケジュール
★★バッファ
そして、必ずバッファが必要だ。
工数見積もりの方法はいくつかあるが、個人的にはCCPMがアートには合っていると感じる。
最速工数を積み上げ、バッファを最後に共通して持つ。単工数にバッファを持たせると、もっと早く出来るのでは?
という横槍、それに対しての説明の苦労が多く発生する。
ゲーム開発は不確実性が非常に高く、変化を歓迎する必要が高い。
かなりギリギリの単工数であり、これ以上の削減は不可能としておき、後半にバッファという形で工数を確保しておく。
この方式の説明が納得されれば全アートの工数説明が楽になる。あとはバッファをどう説明するか?どういう見え方にするか?
というのがケースバイケースで考える必要がある。
バッファという概念が理解されるなら良いが、そうでなければ最悪作成できない物量として明確に切り分けておく必要がある。
(全てmustになるとバッファではなくなる)
★★人月
また人月にも注意が必要だ。
一人月は20人日、一人日は8時間と考えられる。実際には一日の内、アセット作成だけをしている事は稀だ。
連絡、確認、会議、設計など手を動かしていない時間も多い。さらには割り込み(突発的な依頼や相談)も多く発生する。
それが実態と考えた場合、現実的な一人日は6時間程度と見積もっておくほうが良い。
さらに開発中はレビュー会、報告会、ふりかえりを初めとする多くの会議が存在する。
こういった点も踏まえて常に最大まで作業を入れ込もうとする見積もりは危険なことがすぐに分かる。
★★なんのための工数?
予算見積もり時、「何を作るのかはっきり決まってない」というケースがありえる。
この場合、決まってないので見積もれないという心理が働きがちになるが特に注意が必要だ。
この時リーダーとしてどういったものを作りたいのか?これぐらいの量を作りたいという指針を先に持つことが重要だ。
仮に ある程度決まった物事から物量を試算したとしても、ディレクターやセクションのリーダーにはその物量の妥当性が判断できない。
なぜなら彼らも本当に必要な物、どれだけ物量があれば作れるのか?というのがはっきりわかっていないからである。
だからこそパートリーダーとしてパートの中でどういったものを作ろうと思っているのか?
作りたいと思うのかやるのであればこういったクオリティーまでしたい!これぐらいの工数が欲しい!といったイメージを固めることが重要である。
そしてこのイメージは必ずしもディレクターやプロジェクトが 作りたいと思っているものと100%合致している必要はない。
あくまでプロジェクトの方針・コンセプトに基づき リーダーとして作るのであればこういったものを作る。
それを指針にしておけば後々に仕様や物量を調整するとなった際も、自分の意見として交渉ができるからである。
しかしながらこのタイミングでは具体的な物理を見積もることはどの道出来ないので、
ある程度楽観的に割増をした状態で工数を試算するのが良いと考える。
★心理的安全性
次に心理的安全性について考えてみよう。
心理的安全性等は Google のチームが 最近使い出したキーワードである。
チームの中で何かを発言する時に「もしかしたら馬鹿にされるかもしれない」「もしかしたら 聞いてもらえないかもない」
「もしかしたら強い批判を受けるかもしれない」。もしもそう言った心理状態であったならば、
チームメンバーは積極的に物事を発言しなくなる。簡単に言うとそういうことです。
心理的安全性が高ければちょっとした事やもしかしたらその場の空気を変えてしまうようなこと 反感を買うようなこと
ただし言わねばならないと思ったことを素直に言える環境になるということである。
ゲーム開発においてまたゲーム開発だけならずプロジェクトというスタイルにおいては
多くのコミュニケーションと 常日頃発生する問題に対して対処しなければならない
それだけでなくゲームは日々進化するものである。つまり良いアイデアが出たらそれを共有しゲームをより面白くするための議論行い
どのように実装すれば良いか?どういった問題が起きるのか?などを常に話をしていく必要がある
そして作っている最中のゲームに対しても このゲームは今本当に面白くなっているのか この部分が分かりづらいじゃないのか?
そういった議論を積極的に行っていく必要がある。
もしそういった意見が出せないチームになっているとすれば チームメンバーは今作ってるゲームに対しても関心が低くなっているかもしれない。
チームメンバーがゲームを面白くすること・プロジェクトを成功させることよりも、自分のタスクを終わらせることだけを考えてるのかもしれない。
もちろんアセットを量産するスタッフというのは必要だ、それはアウトソースかもしれないしもしかしたら内部に追加された協力会社のメンバーかもしれない しかしながらリーダー・サブリーダー そういったスタッフにおいては、プロジェクトのゴールとしてゲームの面白さ、
そこを考えることに時間を使ってほしいわけである。その時に発言がしにくいつまり心理的安全性が低い状態においては
クリエイティブな活動というものが減ってしまうと考える。そしてこの心理的安全性 を高めるという役目を リーダーは追っていると考えている。
クリエイターはなかなか自分の意見を言えないであったり、あまりコミュニケーションが得意ではないという人もいる
もしかしたらそう見えてるだけかもしれない。まだチームに 打ち解けられるていない 、今の上司に発言がしづらい、
以前嫌なこと言われた、そういった障害を見つけて 解決していく必要がある。
ではどのようにして心理的安全性を高めていけばいいだろうか?
まずは ヒューマンスキルの部分から考えてみよう、あなたが この人は話しやすいなと思うような人、その人はどんな人だろうか?
逆に 話しにくいと思うような人はどんな人だろうか?私が話しにくいなと思うような人は、常に忙しそうにして見える、
イライラしている、おこりっぽい、極端なことを言い出す、視野が狭い、相手からコミュニケーションを取ってこない、
常に否定から入る、決めつけが多い こういう人を私は話しづらいと感じる。(そしてこれは私自身にもいくつか当てはまるのが課題だ)
では話しづらいチームとは?
いつも余裕がない、質問や相談がし辛い、余計な仕事や面倒事を増やすなという雰囲気がある、
話をしても建設的な議論にならない、アイデアを出してもジャッジされない。
こういうチームだと話がし辛い、話すのを控えようという気持ちになると考えている。
共通して言えるのは、やはり「余裕が必要」ということだ。
そのためにも予算とスケジュールが大事だということがわかる。
リードの必要性
現時点の考えから断定してしまうならリードは必要だ。
例えば、ディレクターがリードを兼ねると何が起きるか?
やりたい事が自分の頭の中にあるので、伝える努力、言語化、伝わらないことによる気づき、予算とスケジュールの欠陥、が見えてこないことが多い。
自分では感覚的に分かっているので、勝手な期待をチームに抱くようになる。
リードが具体的な計画をするために質問をしたり、相談をすることでディレクターの壁打ち役になる。
さらにチームが言いづらい事を聞き出し、適切な改善がなされるようディレクターと話す必要があるためだ。
指示が曖昧になり、何のために作るのかも曖昧になり、
成果物に対して「思ってたのと違う」という事も増えてしまうのである。最悪なのは「正解をディレクターが持っている」と考え始めてしまうことだ、
こうなると心理的安全性以前の問題で、言われたことをやる、何がしたいのかわからないので何もできないというチームが出来上がる。
逆にリードは「ディレクターも正解が分かっているわけではないのだ」「わからないこと、不満を抱えているのだ」と理解し、支える姿勢が必要だ。
自分の弱い部分をオープンにすることで、自分と同じだ、上下関係は無いのだと感じる必要がある。
そして、話し合いをする時に共通して言えるのが、
少ない人数であること、そのメンバーだけで意思決定ができること、これらが重要になる。
そのため最低でもアート、ゲームデザイン、プログラムのリードは必要だと感じている。
このレイヤーで話をするにはチームの状況を把握し、適切な対応をひねり出せる必要がある。
これは片手間にできることではなく、基本的にフルタイムの仕事と言える。
なにより重要なのは「先を見通す力」がリーダーには必要ということだ、マネジメントを行う人間にとって重要なのは「問題を見つける」という仕事だ。
問題が起きてから報告を受けて対処では遅く、「問題が起きそうだ」という事象に先手を打つ必要がある。
そして予見するにはそこに意識を常に集中し、情報を集め、整理している必要がある。
これはより広い視野と、経験が必要な仕事だ。