陰翳礼讃
谷崎 潤一郎
日本の美について
日本の美は暗がりにより育まれてきた、と
それは空間や演劇 (歌舞伎など)など、日本文化における美は陰の扱いによって表現されてきた、と
たとえば障子、あれは最も明るい黒である、と
ただし、昔の日本人は好んで暗がりを求めていたわけではなく、可能な限り明るくした結果が和室のような暗い空間であった
その結果、その暗さに慣れ、のちにそこに美を見出し、それを活かすように変化してきた
もともと美とは生活の中から見出されるものである
ただ産業革命により、西洋文化が取り入れられ、合理性を求めるようになり、日本は美の観点において損をしている
日本の美がどこから生まれて、どこに存在するか、を感じ、考えさせてくれる本だった
今の時代に生まれた自分には、上に書いた日本固有の美しさ、陰の美しさについて全てを理解することはできなかった
目も慣れていないし、これまでそのように見ようと思ってこなかったから
それでも、寺院や茶室など空間の魅力は陰の扱いによって表現されているのだろう、だからそこに趣を感じるのだろうと思う
この本を読んでから、東京カテドラルを見に行った (偶然)
カテドラルの構造体のむくみは、陰を表現するため、というのも理由の一つだと思った
特に湾曲した内壁は上部の自然光から翳りを作り、教会という西洋の神聖な空間と組み合わさり、日本らしくも神聖な空間になっていた
洞窟のような静けさと、上部に向かって翳りがなくなり、その先から自然光が入るあの空間の荘厳さは最高だった
日本による教会建築の極みだなと感じた