愛するということ
エーリッヒ・フロム
愛するとは、技術であり、熟練度があり、習熟することができる
愛するとは、恋に落ちるといった衝動のようなものではなく、特定の人物に出会えば愛せる、といった対象の問題でもない
愛するとは、対象を配慮し、対象が生きることに責任を持ち、対象を尊敬し、対象を知ることである
配慮とは、対象が生きることを積極的に気にかけ、思いやること
責任とは、対象が生きることに責任を持つこと、責任とは義務ではなく、相手に応えたい、応える用意があるということ
尊敬とは、対象のありのままの姿をみて、その人が唯一無二の存在であると尊重すること
知とは、相手のことを知ること、知ることに終わりはなく、相手を完全に知ることはできない
愛する技術を習得するためには
他の技術と同じように
「規律」と「集中」と「忍耐」が必要がある
今やっていることに集中する、今の自分の感覚に敏感に、変化に気づくこと
何よりもまず相手の話を真剣に聞く、という姿勢が必要である
かつ、前提としてそれ自体に深く「興味」を持つ必要がある
「愛する」に限って必要なこと
まずはナルシズムから脱却すること = 物事のありのままの姿を見ること (完全に脱することはできない)
そのためには「謙虚」である必要がある
そのために「理性」を働かせ「客観的」に物事を捉える必要がある (どんな時に客観性を失うか、も理解する)
愛する人にだけ謙虚でいられればいいや、ではいつまでも謙虚になれない
それらを身につける上で重要なのは「信じる」という行為である
何を基に信じるか。それは自分の思考や感情、経験を基に信じる。「根拠のあるビジョン」=「信念」が必要である
愛することは「信じる」ことで、自分が愛せば相手も愛してくれる、と信じる必要がある
自分を信じることができるものだけが、相手を愛せる。自分の姿勢は将来も変わらない、と信念があるから他者に約束ができる
「信念」を持つには「勇気」が必要である。
最後に必要なのは「能動性」である。
自律とは、明確な自己の価値基準を持つこと
自身が自律し、成熟した自己を確立することで、生産的な行動を取ることができ、自分を認められるようになる
自身が自律することで、他者との違いを知り、尊重し、その結果愛することができるようになる
参考